前回は有価証券の基本的な種類や処理について解説しました。
今回は債権の端数利息、貸倒引当金、ほかの様々な引当金の解説です。

有価証券の内容ずいぶん多いね。

その分理解すれば確実に点がとれる内容ですので、頑張ってください。
また、貸倒引当金は今後財務諸表の作成でポイントになってくる内容です。
・端数処理の日数の計算の理解
・有価証券利息の処理
・貸倒引当金の処理
・その他の引当金の処理
Contents
有価証券の端数利息

利払日以外に「公社債」を売却した時の仕訳
公社債の利息は利払日に発行会社から受け取ります。
一方、所有する公社債を利払日以外に売却したときは前回の利払日の翌日から売却日までの利息(端数利息)を買主から受け取ります。
利払い日以外の売却の図

・端数利息は「有価証券利息」で処理します。
・利払い日以外の売却時の受取価額=売却価額+有価証券利息

下の図から分かるように利息を支払う会社は利払い日に債券を保有している人に利息を支払います。

なるほど、端数利息を処理することによって売却日までの利息を受け取ることができるんだね。
代金は直前の利払日の翌日から売却日までの利息とともに現金で受け取った。
なお、この社債は年利1%、利払日は6月末と12月末である。
(割り切れない場合は小数点以下を四捨五入せよ)
(解答)
(現金)19,642※1(売買目的有価証券)19,400※2
( 有 価 証 券 利 息 ) 42※3
( 有価証券売却益 ) 200※4
※3 20,000×1%×77日(注)/365日=42.191…⇒42
(注)7月:31日、8月31日、9月15日⇒31+31+15=77
前回の利払い日を含まず、翌日から起算する。
※1:売却代金 20,000×98/100=19,600
19,600+42(端数利息)=19,642(有価証券の売却価額+端数利息)
※2:帳簿価額 20,000×97/100=19,400
※4:差額
②利払日以外に「公社債」を購入した時の仕訳
公社債の利息は利払日に発行会社から受け取ります。
一方、所有数する公社債を利払日以外に購入したときは前回の利払日の翌日から売却日までの利息(端数利息)を買主に支払います。
利払い日以外の購入の図


考え方は利払い日以外の売却と同じです。

そうだね。端数処理を処理することによって受け取るべき利息額を計上できるんだね。
(解答)
(売買目的有価証券)9,800 (現 金)9,820
( 有 価 証 券 利 息 ) 20
端数利息の計算
10,000×1%×72日※/365日=19.72…⇒20
※7月:31日、8月31日、9月10日⇒31+31+10=72
貸倒引当金、その他の引当金

・貸倒引当金
一括評価
一般的な債権に一括で設定する貸倒引当金です。内容は3級で学習した内容です。

以下のページを参照してください。

個別評価
相手側から担保を受け入れたときは債権の金額から担保の回収可能見込み額を控除した残高に貸倒設定率を掛けて見積もります。
(資料)
1、当期末の売掛金の残高は¥10,000である。
2、期末売掛金残高のうち、¥2,000についてはA社に対するもので、担保改修可能見込額¥500を差し引いた残高に対して50%の貸倒引当金を設定する。
3、B社に対する売掛金期末残高は¥3,000であるが、売掛金期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する
4、それ以外の売掛金残高に対して、貸倒実績率2%として貸倒引当金を設定する。
(解答)
(倒引当金繰入)900(貸倒引当金)900
(解説)
A社の貸倒引当金:(2,000-500)×50%=750
B社の貸倒引当金:3,000×5%=150
その他の貸倒引当金:(10,000-2,000-3,000)×2%=100
当期末貸倒引当金残高:750+150+100=1,000
当期貸倒引当金繰入額:1,000ー100=900
営業債権と営業外債権
売掛金や受取手形の営業上の債権(これを営業債権といいます。)から生じる貸倒引当金繰入は営業損益(販売費および一般管理費)に反映させます。
また、貸付金といった営業上以外の債権(これを営業外債権といいます。)から生じる貸倒引当金繰入は営業外損益に反映させます。
修繕引当金

建物や機械などの固定資産は定期的に修繕を行い、機能を維持する必要があります。
そのため、そのための引当金を一定額積んでおく必要があります。
修繕引当金を繰り入れた時は「修繕引当金繰入」(費用)で処理し、相手勘定は「修繕引当金」(負債)で処理します。
(修繕引当金繰入)1,000(修繕引当金)1,000
(修繕引当金)1,000 (現金)1,500
(修 繕 費)500
(注)修繕引当金を超える修繕を行ったときは修繕費で処理します。
退職給付引当金

従業員が退職すると退職金が発生しますが、この退職金は従業員が企業に勤務することに対する対価であるため、退職時に一括で費用計上するのではなく従業員が働いた期間に応じて費用計上すべきです。
そのため決算において将来支払う退職金のうち当期に支払う費用を見積り「退職給付費用」(費用)として計上します。相手勘定は「退職給付引当金」(負債)として計上します。
(退職給付引当金繰入)10,000(退職給付引当金)10,000
(退職給付引当金)6,000(現 金)6,000
賞与引当金

賞与の支払いについては通常6月と12月に支払われます。
本来は当期の賞与は当期の費用にすべきですが、通常日本の企業の会計期間は4月1日から3月31日です。
1月分~3月分の賞与は当期の費用ですが次期に支払われます。
このように次期に支給される賞与のうち、当期に生じた分については「賞与引当金繰入」(費用)として処理し、相手勘定に「賞与引当金」(負債)で処理します。
(資料)
1、当期の会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日まで
2、賞与の支給月は6月1日と12月1日である。
3、賞与の計算期間は6月1日分は12月1日から5月31日までであり、12月1日分は6月1日から11月30日までである。
4、✖2年6月1日の支給予定額は¥2,400である。
(仕訳)
(賞与引当金繰入)1,600(賞与引当金)1,600※
※2,400×4ヵ月/6ヵ月=1,600
(賞与引当金)1,600 (現金)2,400
(賞 与)800
まとめ
・端数利息
有価証券利息勘定の記帳
債券の売却時⇒端数利息を受け取り「有価証券利息」(貸方)として処理
債券の購入時⇒端数利息を支払い、「有価証券利息」(借方)として処理
・引当金
①貸倒引当金
・一括評価:貸倒引当金=債権期末残高×貸倒設定率
・個別評価:貸倒引当金=(債権期末残高ー回収可能見込額)×貸倒設定率
・営業上債権:営業損益
・営業外債権:営業外損益
②修繕引当金
③退職給付引当金
④賞与引当金
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