今回からいよいよ本格的に簿記2級の新試験範囲に突入します。

特にリース取引については以前は1級の範囲でしたので、不安に思う方もいらっしゃる方もいると思いますが、理屈を抑えれば難しい内容ではないです。
・売上割戻引当金の処理
・返品調整引当金の処理
・リース取引の考え方と分類
Contents
引当金の続き

前回も引当金は紹介しましたが、今回は少し変わった引当金を紹介します。
・売上割戻引当金

当期販売分の商品について次期以降に売上割戻しが発生すると考えられるときは、次期以降の売上割戻しに備えて「売上割戻引当金」(負債)を計上し、「売上割戻引当金繰入」(費用※)を計上します。

※売上割戻引当金繰入は費用ですがP/L上は売上のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
(売上割引引当金繰入)400(売上割戻引当金)400※
※10,000×5%-100=400
(売上割戻引当金)600(売掛金)1,000
(売 上)400
前期に販売分⇒売上引当金のマイナス
当期の販売分⇒売 上のマイナス
・返品調整引当金

当期販売分の商品について次期以降に返品が発生すると考えられるときは、次期以降の返品に備えて「返品調整引当金」(負債)を計上し、「返品調整引当金繰入」(費用※)を計上します。
よって以下の計算方法によって設定します。

※返品調整引当金繰入は費用ですがP/L上は売上総利益のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
(返品調整引当金繰入)4,000(返品調整引当金)4,000※
※20,000×0.3ー2,000=4,000
(仕 入)60(売 掛 金)100
(返品調整引当金)40
前期販売分
・原価分⇒仕入で処理(前期の販売分なので、当期の売上のマイナスではない)
・利益分⇒返品調整引当金のマイナス
当期販売分
・当期に売り上げた商品の返品の場合は売上のマイナスで処理。
リース取引

リース取引ってどんな取引なの?

皆様のオフィスにも1つはリース機材はあるのではないでしょうか?よくあるのはコピー機なんかですね。

ではなぜ購入ではなくリースという方法を採るのでしょうか?
いったん購入してしまっては、そのメンテナンスは自社で行う必要がありますが、リース会社からリースをすれば、リース会社がメンテナンスを行ってくれます。

また、不要になった場合でも自社で処分するのではなくリース会社に引き取ってもらえば処分できますし、契約を更新したりすると新機種を導入できるというメリットもあります。

では簿記ではリース取引はどのように定義付けされているのでしょうか?
一見しただけでは難しそうですが、リース会社がリース期間に顧客に対してリース物件に対して貸与して、顧客はリース会社に対してリース料を支払うという取引です。
ただ、リース取引とは2種類あります。
「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」です。

だんだん雲行きが怪しくなってきた。
頭が混乱しそう。

名前負けしないでください。
・リース取引の分類
リース取引は2つの取引に分類されます。
「オペレーティング・リース取引」:「ファイナンス・リース取引」以外のリース取引
「フィナンス・リース取引」の分類
「ファイナンス・リース取引」は以下2つの要件を満たす必要があります。
1、解約不可能

①リース期間においてリース契約を解除することができないリース取引または、②それに準ずる取引であること。
②の「それに準ずる取引」とは法的には契約出来るとして、解約に際して相当の違約金を支払い必要があるため事実上解約不可と考えられるリース取引
2、フルペイアウト

①リースの借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質気に享受できること。
②リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する。

???

「解約出来ない取引であって、資産を保有していのと同じ状況(フルペイアウト)の取引」と理解してください。

覚えんの?

すでに会計用語を空欄に書かせる問題は過去に出ています。「解約不可能」、「フルペイアウト」などの用語は覚えておいたほうがいいかもしれません。
このあたりはまた後でまとめます。
上の2つの要件を満たすことによって「ファイナンス・リース取引」は資産を購入したことと同じ意味を持ち、資産を購入した取引と会計上は同じ意味になります。

所有権移転の分類
「ファイナンス・リース取引」は所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に分けられます。
所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の違いはリース期間が終了した場合にリース物件の所有権が移転するかしないかです。

・所有権移転外ファイナンス・リース取引…リース期間終了時にリース物件の所有権が移転しない取引(リース会社に返却)
こまかい説明は省きますが、2級で扱うのは所有権が移転しない所有権移転外ファイナンス・リース取引です。
つまり、リース期間が終了した場合、リース物件をリース会社する取引です。

2級で扱うのはこの所有権移転外ファイナンス・リース取引の中でも例外法のみです。

ずいぶん狭いところだけなんだね。
ちなみに、この例外法は重要性の低いリース物件のみに適用できます。
リース取引の概要は以下になります。
細かい会計処理については次回説明します。
まとめ
前期に販売分⇒売上引当金のマイナス
当期の販売分⇒売 上のマイナス
※売上割戻引当金繰入は費用ですがP/L上は売上のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
前期販売分
・原価分⇒仕入で処理(前期の販売分なので、当期の売上のマイナスではない)
・利益分⇒返品調整引当金のマイナス
当期販売分
・当期に売り上げた商品の返品の場合は売上のマイナスで処理。
※返品調整引当金繰入は費用ですがP/L上は売上総利益のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
リース取引
「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティングリース取引」の違い
「ファイナンス・リース取引」→「解約不可能」+「フルペイアウト」を満たす取引
「オペレーティング・リース取引」→「ファイナンスリース取引」以外の取引
会計処理
「ファイナンス・リース取引」 →通常の売買と同様に処理
「オペレーティング・リース取引」→賃貸借取引
・所有権移転ファイナンス・リース取引 …リース期間終了時にリース物件の所有権が移転する取引(例 最終的に買い取り)
・所有権移転外ファイナンス・リース取引…リース期間終了時にリース物件の所有権が移転しない取引(リース会社に返却)
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