前回ではリース取引の導入的な解説をしました。

今回は具体的なリース取引の仕訳・計算方法について解説します。
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リース取引の続き
前回は簿記2級におけるリース取引の概要を解説しました。
今回は具体的なリース取引の会計処理・仕訳方法を解説します。
・リース料総額を資産計上か支払いリース料を費用処理か
・資産計上する場合利息は資産額に込めるか込めないか。
ファイナンス・リース取引の借手の処理

「ファイナンス・リース取引」は資産を実質的に購入したのと同じ意味を持つ取引と上で書きましたが、通常の売買取引に準じて会計処理を行います。
①利子込み法

契約時

リース取引においてリース会社はリース物件の原価に対して利益を含んだ額で借手と契約を結びます。
この利益は借手から見ればリース資産を借りたことに対する利息と考えられるため、この利息分を「利息相当額」といいます。
利子込み法の契約時の会計処理は利息相当額を含めた額をリース資産(資産)を借方に計上するとともに、同額をリース負債(負債)を貸方に計上します。
支払い時

リース料を支払ったときはリース料分だけ、リース債務(負債)を減少させます。

備品を未払金で購入した場合に、未払金を分割払いした取引と同じ意味です。
決算時

リース資産の価格をもとに、リース期間を対応年数とし、残存価額をゼロとして減価償却を行います。

前回説明しました借入金で資産を購入した取引と実質的に同じと考えると以下の様にまとめられます。
条件
①リース期間:5年
②年間リース料 2,000円(毎年3月31日後払い)
(1)リース契約時の仕訳
(リース資産)10,000 (リース負債)10,000
リース料総額:2,000×5年=10,000
(2)リース料支払い時の仕訳
(リース負債)2,000 (現 金)2,000
(3)決算時
(減価償却費)2,000(減価償却費累計額)2,000
10,000÷5年=2,000
②利子抜き法

リース物件のうち、リース会社の利益分については資産として扱うのではなくリース物件を借りたことに対する利息と考える方法。
リース物件の原価については借手には通常不明なため見積現金購入価額を以て代用します。
1契約時

リース料総額から利息相当額を控除した額(見積現金購入価額)をリース資産(資産)として借方に計上し、同額をリース負債(負債)を貸方に計上します。
2支払い時

利息相当額を含まないリース料の分だけリース債務を減少させます。また、利息相当分について支払利息(費用)で処理します。
3決算時

リース資産の価格をもとに、リース期間を対応年数とし、残存価額をゼロとして減価償却を行います。
条件
①リース期間:5年
②現金購入見積価額:8,000
③年間リース料 2,000円(毎年3月31日後払い)
(1)リース契約時の仕訳
(リース資産)8,000(リース負債)8,000
(2)リース料支払い時の仕訳
(リース負債)1,600※1(現金)2,000
(支払利息)400※2
※1 8,000÷5年=1,600
※2 (10,000ー8,000)÷5年=400 または差額
(3)決算時
(減価償却費)1,600(減価償却費累計額)1,600
8,000÷5年=1,600
利子抜き法のイメージ図
参考:1級への道

リース料の前払い
条件
①リース期間:5年
②現金購入見積価額:8,000
③年間リース料 2,000円(毎年4月1日前払い)
④利子抜き法により処理すること。
(1)リース契約時の仕訳(×1年4月1日)
(リース資産)8,000(リース負債)8,000
(2)決算時(×2年3月31日)
(減価償却費)1,600(減価償却費累計額)1,600
(支 払 利 息) 400(未 払 利 息)400※
※(2,000×5-8,000)÷5=400

1回目の利息を支払うのが翌年度になるから「未払利息」で計上するんだね。

そうです。
リース料が「前払い」の場合は気を付けてください。
(3)翌期首(×2年4月1日)(再振替記入+リース料支払い)
(未払利息) 400 (支払利息)400
(リース負債)1,600 (現 金)2,000
(支払利息) 400
(2)決算時(×3年3月31日)
(減価償却費)1,600(減価償却費累計額)1,600
(支 払 利 息) 400(未 払 利 息) 400
オペレーティング・リースの借手の処理

前回説明しました、「ファイナンス・リース取引」の2つの要件を満たさない取引を「オペレーティング・リース取引」といいます。
「ファイナンス・リース取引」は資産を取得したことと同義と考えていることに対して、「オペレーティングリース取引」は資産を借りている取引と考えます。(これを賃貸借取引といいます。)
会計処理の方法としましてはリース料の支払い時に「支払リース料」等の適切な科目※で費用処理をするのみです。

※科目の詳細については問題に従ってください。
(1)リース契約時の仕訳
仕訳なし
(2)決算時
(支払リース料)1,500(未払利息)1,500
※2,000×9ヶ月/12ヶ月=1,500
(3)翌期首
(未払利息)1,500(支払リース料)1,500
(4)支払い時
(支払リース料)2,000(現 金)2,000
まとめ
「ファイナンスリース取引」
解約不可能+フルペイアウト⇒リースであっても購入したことと実質的に同じ(ファイナンス・リース取引)⇒資産計上+リース料総額を負債計上(≒資産の分割購入)
「オペレーティング・取引」
「ファイナンス・リース取引」以外の取引⇒支払額を費用計上

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