今までは仕訳の方法について解説してきましたが、今回からは帳簿への記入の仕方を解説します。
簿記の一連の流れは以下の様になります。

自分が今どこにいるのか理解しましょう。

経理実務に従事していない方ですとこんなイメージを持たれるのではないでしょうか?

帳簿記入についてイメージができない。
流れがつかめない。わからない…

私も初めて学習したときは苦手でした。

ちゃんと、学習すればきっちり点をとれる範囲です。
パズル感覚で楽しみながら学習しましょう。

帳簿の勉強方法としましてはとにかく帳簿の流れを意識することが重要です。
・帳簿記入の流れ
・記入内容の把握
・現金出納帳、小口現金出納帳、小口現金出納帳の記入方法
主要簿と補助簿

簿記とは「帳簿に記入」することと書きましたが、今回からは実際に帳簿に記入の仕方を解説したいと思います。

実務は会計ソフトでおこなうので帳簿に記入することはないかと思いますが、上記のとおり試験では頻繁に出ますのでマスターしましょう。
帳簿の種類
総勘定元帳→取引を勘定科目ごとに分類して記録する帳簿
各帳簿の関係は以下の様になります。

しかしながら、上記の方法では特定の取引について詳細な情報が得られません。

例えば売掛金の詳細な管理ができません。
そのため必要に応じて補助簿を作成し、必要な管理を行います。
補助簿は補助元帳と補助記入帳に分けられます。
補助記入帳…特定の勘定科目の明細を記録(例:売掛金の詳細な管理のための帳簿)
補助簿を併用すると以下の様な流れになります。

仕訳帳

この仕訳の記帳が正しく行われていなければ今後作成する財務諸表も正しいものにはなりません。

そのため、実務では通常「仕訳を入力する人間」と「別の人間」が仕訳が合っているのかをチェックします。
仕訳帳の仕組み

以下の取引を例にして仕訳帳への記帳方法を解説します。
(借方)仕入50,000/(貸方)現 金 30,000
買掛金 20,000
記入例

①取引が発生した日付
②勘定科目の記入
借方は左側に記入、貸方は右側に記入、下に取引の概要を記入
勘定科目が同じ借方、貸方に複数ある場合は「諸口」と記入
③転記先の総勘定元帳の番号を記入
④仕訳の金額を借方・貸方に分けて記入
⑤仕訳帳の番号
総勘定元帳

実務において「帳簿を見る」というのはこの「総勘定元帳を見る」といっても過言ではないほど重要な帳簿です。

「おい、ニャット!なんで支払手数料が去年より増加しているんだ?帳簿を見てみろ」

「は、はい!今すぐ調べます。」

こんな感じで総勘定元帳を調べることがよくあります。
総勘定元帳の仕組み
上記の仕訳帳に記入した例を総勘定元帳へ転記すると以下の様になります。

①取引の日付を記入
②題名の勘定科目が借方ならば左側に記入、貸方ならば右側に記入。
③転記元の仕訳帳の番号を記入
④金額を記入
⑤総勘定元帳における各勘定科目の番号
現金出納帳

記入方法は以下の例題を通してみてみましょう。
4月 5日 B社より20,000円の売掛金を現金で回収
10日 C社より10,000円の現金での仕入
29日 消耗品代6,000円の現金での購入
記入例
①日付欄は取引の発生した日付を記入します。
②摘要欄には取引の概要を記入します。
③収入欄には現金の増加額を記入します。
④支出欄には現金の支出額を記入します。
⑤残高欄には取引ごとの現金の残高額を記入します。
4月5日の残高 :1,000円+20,000=21,000円
4月10日の残高:21,000円ー10,000円=11,000円
4月29日の残高:11,000円ー5,000円=6,000円
⑥月末には「次月繰越」とし、月末残高を「支出」欄に記入します。(厳密には赤字で記入しますが、試験では黒で記入します。)
⑦「収入」と「支出」の合計を記入します。両者の合計は一致します。
⑧前月の次月繰越高を次月の収入欄に記入します。
当座預金出納帳

5月 5日 B社より20,000円の売掛金の回収
15日 C社への買掛金の15,000円の支払いを小切手で行った。
20日 消耗品5,000円を小切手で支払った。
以下の通りの記入方法になります。
①小切手番号欄には当社が振り出した小切手の番号を記入
②取引の金額の記入欄が預入なら「借」、引出なら「貸」と」記入
※その他は現金出納帳と同じ
小口現金出納帳

小口現金を補給する方法としては月末締めならば、月末に行うのか、月初に行うかによって帳簿の締め切りが異なります。
6月 1日 切手代 500円
15日 電車代 300円
20日 お茶菓子代 800円
30日 コピー用紙代 1,000円
①月初補給

①小口現金の前渡額、補給額
②取引日を記入
③取引内容
④支払額
⑤支払欄に記入した額のうち該当する勘定科目に記入
⑥月末に支払欄と内訳欄の合計を記入し、金額が一致していることを確認
⑦受入額と支払額の差額(次月繰越額)を記入
⑧受入額と支払額の合計を記入し、金額が一致していることを確認
⑨翌月の月初には⑥で計算した「次月繰越」を「前月繰越」として記入
⑩先月の残額と前渡し額との差額(=先月使用額)が補給されるため受入欄に記入
上記の内容に基づいて小口現金係から経理部へ報告があるため、経理部は報告に基づいて仕訳を行う。
・報告時
(借方)旅費交通費 300 / (貸方)小口現金 2,600
通信費 500
雑費 1,800
・補給時
(借方)小口現金 2,600 / (貸方)現金 2,600
②月末補給

①当月に使った額=補給額ですので、支払額の合計を受入額に記入
②「次月繰越額」には定額が記入
③受入、支払の合計額を記入。両者の額が一致していることを確認
④翌月には前月に繰り越された額を「前月繰越」額として記入
※その他は月初補給と同様
小口係から報告を受けた経理部は以下の様に仕訳を記帳します。
報告時
①(借方) 旅費交通費 300 / (貸方)小口現金 2,600
通信費 500
雑費 1,800
補給時
②(借方) 小口現金 2,600 / (貸方)現金 2,600
まとめ
・摘要欄に同じ借方、貸方に勘定科目が複数ある場合は「諸口」と記入
・元丁欄には総勘定元帳の各勘定科目のページ数を記入
・借方は左側の欄に、貸方は右側の欄に記入
・仕丁欄には仕訳帳の番号を記入

①日付欄は取引の発生した日付を記入します。
②摘要欄には取引の概要を記入します。
③収入欄には現金の増加額を記入します。
④支出欄には現金の支出額を記入します。
⑤残高欄には取引ごとの現金の残高額を記入します。
⑥月末には「次月繰越」とし、月末残高を「支出」欄に記入します。(厳密には赤字で記入しますが、試験では黒で記入します。)
⑦「収入」と「支出」の合計を記入します。両者の合計は一致します。
⑧前月の次月繰越高を次月の収入欄に記入します。
①小切手番号欄には当社が振り出した小切手の番号を記入
②取引の金額の記入欄が預入なら「借」、引出なら「貸」と」記入
※その他は現金出納帳と同じ
・月末に支払欄と内訳欄の合計を記入し、金額が一致していることを確認
・受入額と支払額の差額(次月繰越額)を記入
・受入額と支払額の合計を記入し、金額が一致していることを確認
・翌月の月初には⑥で計算した「次月繰越」を「前月繰越」として記入
・先月の残額と前渡し額との差額(=先月使用額)が補給されるため受入欄に記入
・当月に使った額=補給額ですので、支払額の合計を受入額に記入
・「次月繰越額」には定額が記入
・受入、支払の合計額を記入。両者の額が一致していることを確認
・翌月には前月に繰り越された額を「前月繰越」額として記入
※その他は月初補給と同様
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