引当金には様々なものが存在します。
簿記2級に出題さるものでは以下のものがあります。
- 貸倒引当金
- 修繕引当金
- 退職給付引当金
- 賞与引当金
- 返品調整引当金
- 売上割戻引当金
計算方法はそれぞれ微妙に異なります。
とくに、この計算方法の違いは総合問題で効いてきます。
知っていれば点数になるのに、知らないだけで点数を落とすことがよくあります。
ですので、最後までこのブログを読んでいただいて引当金を得点源にしましょう!
貸倒引当金

一括評価
一般的な債権に一括で設定する貸倒引当金です。内容は3級で学習した内容です。

以下のページを参照してください。

個別評価
相手側から担保を受け入れたときは債権の金額から担保の回収可能見込み額を控除した残高に貸倒設定率を掛けて見積もります。
(資料)
1、当期末の売掛金の残高は¥10,000である。
2、期末売掛金残高のうち、¥2,000についてはA社に対するもので、担保改修可能見込額¥500を差し引いた残高に対して50%の貸倒引当金を設定する。
3、B社に対する売掛金期末残高は¥3,000であるが、売掛金期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する
4、それ以外の売掛金残高に対して、貸倒実績率2%として貸倒引当金を設定する。
(解答)
(倒引当金繰入)900(貸倒引当金)900
(解説)
A社の貸倒引当金:(2,000-500)×50%=750
B社の貸倒引当金:3,000×5%=150
その他の貸倒引当金:(10,000-2,000-3,000)×2%=100
当期末貸倒引当金残高:750+150+100=1,000
当期貸倒引当金繰入額:1,000ー100=900
営業債権と営業外債権
売掛金や受取手形の営業上の債権(これを営業債権といいます。)から生じる貸倒引当金繰入は営業損益(販売費および一般管理費)に反映させます。
また、貸付金といった営業上以外の債権(これを営業外債権といいます。)から生じる貸倒引当金繰入は営業外損益に反映させます。
修繕引当金

建物や機械などの固定資産は定期的に修繕を行い、機能を維持する必要があります。
そのため、そのための引当金を一定額積んでおく必要があります。
修繕引当金を繰り入れた時は「修繕引当金繰入」(費用)で処理し、相手勘定は「修繕引当金」(負債)で処理します。
(修繕引当金繰入)1,000(修繕引当金)1,000
(修繕引当金)1,000 (現金)1,500
(修 繕 費)500
(注)修繕引当金を超える修繕を行ったときは修繕費で処理します。
退職給付引当金

従業員が退職すると退職金が発生しますが、この退職金は従業員が企業に勤務することに対する対価であるため、退職時に一括で費用計上するのではなく従業員が働いた期間に応じて費用計上すべきです。
そのため決算において将来支払う退職金のうち当期に支払う費用を見積り「退職給付費用」(費用)として計上します。相手勘定は「退職給付引当金」(負債)として計上します。
(退職給付引当金繰入)10,000(退職給付引当金)10,000
(退職給付引当金)6,000(現 金)6,000
賞与引当金

賞与の支払いについては通常6月と12月に支払われます。
本来は当期の賞与は当期の費用にすべきですが、通常日本の企業の会計期間は4月1日から3月31日です。
1月分~3月分の賞与は当期の費用ですが次期に支払われます。
このように次期に支給される賞与のうち、当期に生じた分については「賞与引当金繰入」(費用)として処理し、相手勘定に「賞与引当金」(負債)で処理します。
(資料)
1、当期の会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日まで
2、賞与の支給月は6月1日と12月1日である。
3、賞与の計算期間は6月1日分は12月1日から5月31日までであり、12月1日分は6月1日から11月30日までである。
4、✖2年6月1日の支給予定額は¥2,400である。
(仕訳)
(賞与引当金繰入)1,600(賞与引当金)1,600※
※2,400×4ヵ月/6ヵ月=1,600
(賞与引当金)1,600 (現金)2,400
(賞 与)800
・売上割戻引当金
当期販売分の商品について次期以降に売上割戻しが発生すると考えられるときは、次期以降の売上割戻しに備えて「売上割戻引当金」(負債)を計上し、「売上割戻引当金繰入」(費用※)を計上します。

※売上割戻引当金繰入は費用ですがP/L上は売上のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
(売上割引引当金繰入)400(売上割戻引当金)400※
※10,000×5%-100=400
(売上割戻引当金)600(売掛金)1,000
(売 上)400
前期に販売分⇒売上引当金のマイナス
当期の販売分⇒売 上のマイナス
・返品調整引当金

当期販売分の商品について次期以降に返品が発生すると考えられるときは、次期以降の返品に備えて「返品調整引当金」(負債)を計上し、「返品調整引当金繰入」(費用※)を計上します。
よって以下の計算方法によって設定します。

※返品調整引当金繰入は費用ですがP/L上は売上総利益のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
(返品調整引当金繰入)4,000(返品調整引当金)4,000※
※20,000×0.3ー2,000=4,000
(仕 入)60(売 掛 金)100
(返品調整引当金)40
前期販売分
・原価分⇒仕入で処理(前期の販売分なので、当期の売上のマイナスではない)
・利益分⇒返品調整引当金のマイナス
当期販売分
・当期に売り上げた商品の返品の場合は売上のマイナスで処理。
まとめ
①貸倒引当金
・一括評価:貸倒引当金=債権期末残高×貸倒設定率
・個別評価:貸倒引当金=(債権期末残高ー回収可能見込額)×貸倒設定率
・営業上債権:営業損益
・営業外債権:営業外損益
②修繕引当金
③退職給付引当金
④賞与引当金
⑤返品調整引当金
前期に販売分⇒売上引当金のマイナス
当期の販売分⇒売 上のマイナス
※売上割戻引当金繰入は費用ですがP/L上は売上のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
・原価分⇒仕入で処理(前期の販売分なので、当期の売上のマイナスではない)
・利益分⇒返品調整引当金のマイナス
当期販売分
・当期に売り上げた商品の返品の場合は売上のマイナスで処理。
※返品調整引当金繰入は費用ですがP/L上は売上総利益のマイナスで表示することが原則です。(詳細は問題文に従ってください。)
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