簿記2級のなかで、理屈が最も難しいのが今回解説する「税効果会計」ではないでしょうか?
その理由としては、本質的な理解のためには簿記以外の知識が必要になるからです。
今回はそんな簿記以外の内容についても細かく解説しております。
・税務上と会計上の利益の違い
・一時差異
税務上の利益と会計上の利益について
税務上の利益と会計上の利益は違います。
税務上の利益は「課税所得」といいます。「課税所得」に税率をかけたものが法人税になります。
会計上の利益≠税法上の利益

それぞれの求め方は以下になります
税法上の利益=益金ー損金

計算方法が違うね

そうなんです。収益と益金、費用と損金似てるようで違います。

会計上の利益と税法上の利益が異なる場合は税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させるために税効果会計が必要になります。

?????

とりあえず下の例を見てみましょう
【税効果導入前の損益計算書】


どうでしょう?

税引前当期純利益が同じなのに当期純利益が違うね。

そうです。
税引前当期純利益が同じならば本来、法人税等も同じで、当期純利益も同じでなければなりません。

そういわれれば、そうだね。

しかし実際にはそううまくいきません。そのために、税効果会計が存在します。
上の例で税効果会計を適用した場合を見てみましょう。
【税効果導入後の損益計算書】


当期純利益が同じだね。あと、見慣れない科目があるね。

これが税効果会計の効果です。これによってA社とB社を適正に比較できます。
見慣れない科目はとりあえず置いといてください。
なぜ法人税等に違いが生じるのか?
なぜ同じ税引前当期純利益でも当期純利益が異なるのか?
その理由は以下の様なものです。
②損益計算書は法人税の計算を目的としていないため
図で説明すると以下の様になります。
上記のB社について見てみましょう。
B社については税務上の費用に認められなかった会計上の費用が5,000円あります。
※A社については10,000×45%=4,500がそのまま法人税等になります。
よって同じ税引前当期純利益でも純利益は異なってきます。
会計上の利益と課税所得の差異
会計上の利益≠税法上の利益(課税所得)というのは上記で見ました。
会計上の利益と税法上の利益(課税所得)の違いから発生する差異は2種類あります。
その2つは「将来、差異が解消するか否か」で分類できます。
これを一時差異といいます。また、益金場合も同じです。
逆に、将来においても損金算入が認められない項目を永久差異といいます。
一時差異
財務諸表上、一時差異は以下の場合に発生します。
②資産の評価差額が純資産に計上され、課税所得に含まれない場合(その他有価証券評価差額金)
これらは差異発生時、損金不算入の場合、課税所得を大きくし、法人税等の額を大きくします。
一方、解消するとき損金に算入されるため法人税等の額が小さくなります。
(発生時に損金算入ならば逆のパターン)
一時差異の例
また、永久差異についてはそのまま2級の範囲になりませんので、ここでは扱いません。
具体的な仕訳の内容は次回にしたいと思います。

頭が破裂しそう…

この単元は理論はすごくややこしいですが、仕訳は驚くほどあっさりしています。

そうなの?

説明をする必要からややこしい内容を説明しましたが、
仕訳自体の理解は難しくないと思います。

安心した。
まとめ
・会計上の利益と税法上の利益の違い
税法上の利益=益金ー損金
・一時差異と永久差異
・一時差異の発生原因と内容
②資産の評価差額が純資産に計上され、課税所得に含まれない場合(その他有価証券評価差額金)
次回は具体的な仕訳について解説します。

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