【為替の影響を排除しよう!】簿記2級、為替予約の仕訳をわかりやすく解説します!(振当処理)

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前回は一般的な外貨換算の処理について解説しました。


しかしながら前回の方法では、取引ごとに為替の影響を受けてしまいます。


これでは、安心して取引ができません。


そこで、今回は為替の影響を排除する「為替予約」という方法を解説します。


今回のポイント
・振り当て処理の処理方法


今回のブログは為替予約を理解できる内容になっていますので、最後まで読んでください。


目次

為替予約

予約席のイラスト


為替予約とは為替相場の変動リスクを回避する物です。


例えば海外から輸入を$1,000行ったとします。この時点の為替相場が$1=100円だったとします。

この場合の仕訳は

(仕入)100,000(買掛金)100,000


この買掛金を決済するときに支払う額は為替相場によって変動します。


・1ドル110円になった場合の支払額は$1,000×110円=110,000円になります。
・1ドル90円になった場合の支払額は$1,000×90円=90,000円になります。


為替相場は日々変動しており上記のように外貨建債務を負っている企業は将来の支出についてリスクを背負ってしまいます。


そこで、企業はこのリスクを回避する保険としてあらかじめ決済時の為替相場を銀行との契約で決めておくことができます。これを為替予約をといいます。


タカ
タカ

リスクとはそもそも損をする場合だけでなく、得をする場合もさします。

ニャット
ニャット

損・得2つ併せてリスクなんだね。



為替予約の処理方法

スマートフォンでチャートを見る人のイラスト


為替予約の処理方法としては①独立処理②振宛処理があります。


2級の範囲としましては②振宛処理の簡便法のみが該当します。


外貨建て金銭債権債務を為替予約時の為替相場(予約レート)で換算します。
この予約レートで処理する方法を振り当て処理といいます。


為替予約の振当処理

少女野球のイラスト


取引発生時までに為替予約を付した場合


取引発生時までに為替予約を付した場合は、契約時の為替相場を予約相場に固定し
差額を為替差損益として処理します。


為替差損


用語解説
直物為替相場…直物取引に適用される為替相場
先物為替相場…先物取引に適用される為替相場


例 以下の一連の取引について仕訳を行いなさい。

①×2年2月1日 A社は海外のB社より商品$200を輸入し、代金は3か月後に支払うこととした。また、取引と同時に為替予約を行った。取引時の直物為替相場は$1=113円、先物為替相場は$1=110円である。

②×2年3月31日 決算日を迎えた。決算時の為替相場は$1=110円である。

③×2年4月30日 ①の買掛金$200を現金で支払った。決済時の直物為替相場は$1=116であった。




【解答】

        ①【為替予約日】(仕入)22,000(買掛金)22,000

※$200×110(先物為替相場)=22,000


        ②【決算日】 仕訳なし


2級においては外貨建取引を為替予約相場で換算した場合、決算日での買掛金の換算は行いません。(為替差損益も生じません。)


       ③【支払日】(買掛金)22,000(現金)22,000

※為替予約時の換算額で決済を行います。



取引発生後に為替予約を付した場合


取引発生後に為替予約を行った場合、為替予約差額は「直直差額」と「直先差額」に分けられます。この「直直差額」と「直先差額」をそれぞれ為替差損益で処理します。


例 以下の一連の取引について仕訳を行いなさい。

①×2年2月1日 A社は海外のB社より商品$200を輸入し、代金は2か月後に支払うこととした。取引時の直物為替相場は$1=112円である。

②×2年3月1日 上記の買掛金に為替予約を行った。この時の直物為替相場は$1=113円、先物為替相場は$1=110円であった。

③×2年3月31日 ①の買掛金$200を現金で支払った。この時の為替相場は$1=115円である。


【解答】

        ①【取引時】(仕入)22,400(買掛金)22,400

※$200×112円=22,400


        ②【契約時】(買掛金)400(為替差損益)400

直直差額=(113ー112)×200=200
直先差額=(110ー113)×200=△600
合  計=200+△600=△400

タカ
タカ

または(110-112)×200=△400で一気に求められます。


       ③【支払い時】(買掛金)22,000(現金)22,000

22,400(①)ー400(②)=22,000


タカ
タカ

または、$200×110円=22,000円となります。
これは、予約レートで処理する方法が振り当て処理だからです。


まとめ

振当処理

パターン① 取引発生時までに為替予約を付した場合

取引発生時までの為替予約


パターン② 取引発生後に為替予約を付した場合

発生後の為替予約


確認問題もあわせてチェックしよう

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