簿記2級の受験生の多くの方は連結会計を苦手にしているのではないでしょうか?
実際、予備校の会計士講座でも連結はそれだけで独立した講座があるぐらい特殊な内容です。
それゆえ、簿記2級の受験生の中には連結問題を捨ててらっしゃる方も多いと思います。

しかし、連結を捨てているそこのあなた!連結をすてるなんてもったいない!
連結は確実に点がとれますし、実にパズル的な問題です。


あんた誰?

連結会計を始めるのに必要な知識は?

連結会計を勉強する前に必要な知識は「修正仕訳」です。
知識があいまいな方はもう一度確認しましょう。
連結ってなに?

以前、株式会社の所有者は株主であると解説しました。
この所有者が個人であれば、この個人の意思が反映された経営が行われます。
では、所有者が会社であった場合はどうなるでしょうか?
所有者である会社の意図が反映された経営が行われます。
それは「連結財務諸表」と言われるものです。
「連結財務諸表」は以下の様に規定されています。
つまり、複数ある企業集団の財務諸表を1つの企業とみなして作成する財務諸表を「連結財務諸表」といいます。
支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団とは?
支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団とは「親会社と子会社から成る企業集団をいいます。」
子会社…親会社に支配されている企業
「支配」の定義は以下の様に定められています。
②他の企業の議決権を40%以上50%以下の所有であって「一定の要件を満たす※」企業
③他の企業の議決権を40%未満の所有であって「一定の要件を満たす※」企業
※「一定の要件を満たす」については細かい規定が存在しますがここでは省きます。

試験では議決権の50%超を保有した場合が「支配」に該当すると思ってください。他の場合は試験問題に従ってください。

ちなみに、「50%超」は50%を含みません。50%を超えるという意味です。(例 50.1%)
「50%以上」は50%を含みます。
この支配の考え方を「支配力基準」といいます。
形式的に議決権のみで支配を定義してしまうと「実質的」に支配しているにもかかわらず、議決権が50%未満の企業について子会社として扱われなくなってしまうからです。
連結上の注意事項

連結財務諸表については帳簿記帳を前提としておらず、帳簿外において連結精算表を用いて作成します。

どうゆうこと?

いまは、ふーんという感じでいいです。おいおい説明します。
他には、連結上では個別財務諸表上で使用する科目名と異なる場合があります。
以下はその一例です。
繰越利益剰余金 ⇒ 利益剰余金
仕 入 ⇒ 売 上 原 価

これは個別財務諸表と連結財務諸表の使用用途が違うからです。
また管轄する法律も違います。(個別財務諸表⇒会社法、連結財務諸表⇒金融商品取引法)
個別財務諸表は法人税の申告のもとになるので詳細に記す必要があります。
一方、連結財務諸表は株主への報告目的が主要なので多少科目を簡略化することが認められています。
連結財務諸表の作成手順

※ 連結会計上では親会社(Parent conpany)のことをP社、子会社(subsidiary)のことをS社ということが多いです。
投資と資本の相殺消去

連結財務諸表上、株式取得時(子会社の支配獲得した場合)に投資と資本の相殺消去の仕訳を加える必要があります。
「投資と資本の相殺消去」における「投資」とは親会社が子会社を取得する際の投資の額です。
一方、「資本」は子会社が親会社から受けた投資に対して発行した株式の額です。
そのため、親会社の「投資」と子会社の「純資産」は連結財務諸表上、単なる資金の社内の内部移動と考えられるため相殺消去を行います。
(資 本 金)16,000 (S社株式)20,000※
(資本剰余金)4,000
※ 出資して、子会社を設立する場合は、子会社株式を取得したことになります。
参考
親会社の個別処理(現金で出資の場合)
(S社株式)20,000 (現 金)20,000
子会社の個別処理(現金で出資の場合)
(現 金)20,000(資 本 金)16,000
(資本剰余金) 4,000
まとめ
複数ある企業集団の財務諸表を1つの企業とみなして作成する財務諸表
・帳簿記帳を前提としておらず、帳簿外において連結精算表を用いて作成
・連結財務諸表上では個別財務諸表上で使用する科目名と異なる場合がある
親会社の個別財務諸表+子会社の財務諸表⇒単純合算⇒連結修正仕訳⇒連結財務諸表
・親会社による子会社の支配獲得時、連結財務諸表上、親会社からの「投資」と子会社の「純資産」はイコールであるため相殺する必要がある
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