【簿記2級】連結・非支配株主持分、のれん、子会社の利益剰余金を解説

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前回から、「連結会計」の範囲に突入しました。


今回は連結の中でも基礎的な処理の方法について解説します。


連結の問題の中でも点数に直結する内容も多いのですので、しっかり理解しましょう!


目次

非支配株主持分

仲間はずれのイラスト(棒人間)


親会社が子会社の発行する株式を100%所有しない場合は、親会社以外の株式所有者が存在することになります。


この所有者のことを「非支配株主」といいます。


この場合、親会社の持分は投資と資本の相殺消去を行い、非支配株主分については非支配株主持分として処理されます


非支配株主


例 P社は×1年4月1日に9,000円を支払いS社発行の株式60%を取得した。その際のS社の資本構成は資本金9,000円、資本剰余金1,000円、利益剰余金5,000円であった。

         (資 本 金)9,000 (S 社 株 式)9,000
         (資本剰余金)1,000 (非支配株主持分)6,000※
         (利益剰余金)5,000

※非支配株主持分の求め方:純資産の合計金額に持分比率をかけて求める。

(9,000+1,000+5,000)×(100%-60%【親会社持分】)=6,000


のれん

暖簾をくぐっている人のイラスト(女性)


親会社の子会社に対する投資と資本の相殺消去において差額が生じた場合には差額が借方に発生した場合は「のれん」(資産)として処理します。


また、のれんは資産に計上し20年以内において合理的な方法で規則的に償却します。


のれん自体は他企業との競争において時間とともにその価値は減少すると考えられています。


ただし、海外ではこの方法は採られていないようです。


一方、差額が貸方の場合は「負ののれん」として処理し、発生年度において負ののれん発生益」(収益)として処理します。


タカ
タカ

簿記2級で「負ののれん」が出題されるのは考えにくいですが、一応解説しときました。


例 P社は当期首にS社の発行済株式数の60%の株式を11,000円で購入した。その際S社の資産構成は資本金9,000円、資本剰余金1,000円、利益剰余金5,000円であった。なお、のれんについては発生年度から10年間の定額法で償却する。

①開始仕訳

        (資 本 金)9,000(S 社 株 式)11,000
        (資本剰余金)1,000(非支配株主持分)6,000※
        (利益剰余金)5,000
        (の れ ん)2,000

※(9,000+1,000+5,000)×(100%-60%)=6,000

②のれんの償却

       (のれん償却額)200(の れ ん)200


例 P社はS社の発行済株式数の60%の株式を7,000円で購入した。その際S社の資産構成は資本金9,000円、資本剰余金1,000円、利益剰余金5,000円であった。なお、のれんについては発生年度から10年間の定額法で償却する。

①開始仕訳

           (資 本 金)9,000(S 社 株 式)7,000
           (資本剰余金)1,000(非支配株主持分)6,000※
           (利益剰余金)5,000(負 の の れ ん)2,000

※(9,000+1,000+5,000)×(100%-60%)=6,000

②負ののれんの処理

          (負ののれん)2,000(負ののれん発生益)2,000


取得後の利益剰余金の増減と被支配株主持分

チョコレートケーキのイラスト「ザッハトルテ」


タカ
タカ

連結会計において子会社取得後に増減する子会社の利益の増減額は重要です。

ニャット
ニャット

なぜ?

タカ
タカ

親会社にとって子会社は投資の対象だからです。
子会社の利益は投資の成果と考えられます。


株式取得後に生じた子会社の利益剰余金の増減額株式持分比率により親会社とそれ以外の株主(非支配株主)に分割します。


タカ
タカ

子会社の利益を親会社と非支配株主で山分けするイメージです。


子会社の利益の配分


その際行われる仕訳は以下の様になります。


    (非支配株主に帰属する当期純利益)××× (被支配株主)×××


子会社の当期純利益が計上されるとその金額だけ子会社の利益剰余金は増加します。


そのうちの非支配株主持分にかかる金額については、貸方に「非支配持分」へ振り替える必要があります。


借方は、親会社に帰属する当期純利益を調整するために、「非支配株主に帰属する当期純利益」として処理します。


ニャット
ニャット

親会社への利益はどうするの?

タカ
タカ

親会社への利益は合算の段階で計算されています。


親会社の利益+子会社の利益-非支配株主の利益(連結修正仕訳)=連結財務諸表上の利益


例 P社は×1年4月1日にS社の発行済株式60%の株式を31,600で購入した。×1年4月1日のS社の資本構成は資本金38,000円、資本剰余金2,000円、利益剰余金10,000円であった。また、×1年度のS社の当期純利益は12,000円であった。
そこで、×1年3月31日における連結財務諸表を作成するために必要とされる連結修正仕訳をしなさい。ただし、のれんは発生年度から10年間で償却するものとする。

 

①開始仕訳

         (資 本 金)38,000(S 社 株 式)31,600
         (資本剰余金) 2,000(非支配株主持分)20,000 ※1
         (利益剰余金)10,000
         (の れ ん)1,600 ※2

※1(38,000+2,000+10,000)×(100%-60%)=20,000
※2 差額

②のれんの償却

          (のれん償却額)160(のれん)160※3

※3 1,600÷10=160

③当期純利益の振替

   (非支配株主に帰属する当期純利益)4,800(非支配株主持分)4,800 ※4

※4 12,000×(100%-60%)=4,800


まとめ

①非支配株主持分

親会社以外の株式所有者⇒「非支配株主持分
非支配株主持分の求め方:純資産の合計金額に持分比率をかけて求める

②のれん

投資と資本の相殺消去において差額
借方側に発生⇒「のれん」(資産)として処理
貸方側に発生⇒「負ののれんの発生益」(収益)として処理

③取得後の利益剰余金の増減と被支配株主持分

株式取得後に生じた子会社の利益剰余金の増減額株式持分比率により親会社とそれ以外の株主(非支配株主)に分割
    (非支配株主に帰属する当期純利益)××× (被支配株主)×××
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