今回から退職給付会計を解説します。
この退職給付はいきなり新しい用語や考え方が一気に出てくるので、初心者の方にはなかなか厳しい内容ではないでしょうか?
実は簿記1級を初めて勉強した際に1一番苦戦した内容の1つが「退職給付会計」でした。
ですので、私の苦労した経験を活かして解説していきます。
退職給付とは?

退職給付とは一般的にサラリーマンが退職したときに給付される額をいいます。
その退職金の支払いのために引き当てる額を「退職給付引当金」といいます。

退職金には「企業年金」や「退職一時金」がありますがここでは「退職一時金」について話します。
退職給付引当金とは?

退職給付引当金は以下の計算方法によって求められます。
チェックポイント
退職給付債務-年金資産=退職給付引当金

いろいろな用語が出てきたね。

退職給付会計はいろいろな用語かいきなり出てくるので初心者にはつらい部分ですね。1つ1つ見ていきましょう。
退職給付債務
退職給付債務は以下のような規定が存在します。
退職給付債務とは?
一定の期間にわたり労働を提供した従業員が退職後に支給される額のうち「認識時点(計算時点)までに発生していると認められる額」をいい、割引計算によって求められる。

ようは企業が将来的に負担すべき退職金の額のことをいっています。
キーワードは「認識時点(計算時点)までに発生していると認められる額」です。
これに対して「退職給付引当金」は企業が実際に積み立てた退職給付債務の額のことです。
チェックポイント
・退職給付債務=認識時点までに発生していると認められる額
・退職給付引当金=企業が実際に積み立てた退職給付債務の額

退職給付引当金=退職給付債務にはならないの?

全従業員が直ちに退職することが見積もられた場合にはそうなりますが、現実問題としてとしてそのような事態は考えにくいですね。
ですので、退職給付引当金=退職給付債務は合理的な仮定とはいえません。
退職給付債務の計算方法

退職給付引当金の考え方はとてもややこしいので以下の例題を通して内容を理解していきましょう。
退職給付債務の見積額の計算ステップ
「年度末までに発生していると認められる額」についての計算方法は原則が期間定額法です。
期間定額法以外では給与基準法などがあります。
ステップ①で計算した額は現時点で×2年度末に「発生すると認められる額」なので、計算時点まで割り引いてやる必要があります
ステップ① 年度末までに発生していると認められる額を計算する。
「年度末までに発生していると認められる額」についての計算方法は原則が期間定額法です。
期間定額法以外では給与基準法などがあります。
Ⅰ、期間定額基準

この式の考え方は退職給付額が毎年均等に発生していると考えています。そして、計算年度末時点でいくら額が発生したのか?という考え方です。
Ⅱ、給与基準法



この式は全体の給与のうち当期末までの給与の合計の割合が計算年度末までに退職給付が発生したと考えているね。
例題を解くと以下のようになります。
年度末までに発生していると認められる額:
×0年度末時点
退職給付見込額1,000,000×(×0年度末時点勤務年数18年)÷(退職勤務年数20年)=900,000
×1年度末時点
退職給付見込額1,000,000×(×0年度末時点勤務年数19年)÷(退職勤務年数20年)=950,000
ステップ② 割引計算を行う
ステップ①で計算した額は現時点で×2年度末に「発生すると認められる額」なので、計算時点まで割り引いてやる必要があります
×0年度末時点
900,000÷1.05=816,326.53…⇒816,327(円未満四捨五入)
×1年度末時点
950,000÷(1.05)^2=904,761.9…⇒904,762(円未満四捨五入)
答え
①×1年度の退職給付債務の見積金額(816,327円)
②×2年度の退職給付債務の見積金額(904,762円)
まとめ
退職給付債務-年金資産=退職給付引当金
・退職給付引当金⇒企業が実際に積み立てた退職給付債務の額
・退職給付債務の計算方法
ステップ① 年度末までに発生していると認められる額を計算する。
Ⅰ、期間定額基準
Ⅱ、給与基準法
ステップ② 割引計算を行う
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