前回は振当処理の基礎、そして独立処理との比較を行いました。
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しかし、振当処理には様々なパターンが存在します。
そこで今回は前回では紹介しきれなかった様々な振当処理について解説します。

振当処理は重要論点なのでしっかりできるようにしましょう。
為替予約の振当処理(物品の売買取引および役務の提供取引)

2,外貨建取引前の為替予約
・直々差額を為替差損益として認識
・直先差額は期間按分
仕訳
①✕1年9月1日(為替予約日)
仕訳なし
②✕1年11月1日(予約日)
(仕 入)28,500(買 掛 金)27,000
(為替差損益) 1,500
③✕1年12月31日(決算日)
(為替差損益)450 (前受収益)450
解説
取引額⇒HR換算:
300ドル×@95円=28,500
為替予約額は振当処理を行う:買掛金を先物相場に固定させる
買掛金⇒先物相場:
300ドル×@90円=27,000
為替差損益
直々差額:300ドル×(取引日直物@95-予約日直物@93)=600
直先差額:300ドル×(予約日先物@90-予約日直物@93)=900

(注)先物の場合は価格が下がった場合に評価益になります
前受収益:決算日から決済日の間の直先差額は「前受収益」として処理します。
直先差額900×4月/8月=450
為替予約の振当処理(資金取引)

1,資金取引に対する振当処理
外貨による貸付金、定期預金等に資金取引に為替予約を行い、外貨建項目を振当処理を行った場合の為替差損益は物品の売買取引および役務の提供取引の処理方法と変わりません。
仕訳
①✕1年11月1日(為替予約日)
(現金預金)28,500(長期借入金)28,500
②✕1年12月1日(予約日)
(長期借入金)3,000(為替差損益) 600
(長期前受収益)2,400
③✕1年12月31日(決算日)
(長期前受収益)2,080 (為替差損益) 160
(前受収益) 1,920
解説
①借入日
借入日:300ドル×HR95=28,500
②為替予約
直々差額:300ドル×(@93-@95)=△600
直先差額:300ドル×(@85-@93)=△2,400
③決算日
直先差額の当期配分
2,400×1月/15月=160
直先差額の次期配分
2,400×12月/15月=1,920
2,転換に先立って行われる為替予約の振当処理
外貨による貸付や借入などの円への転換に先立ち、為替予約を行うことがあります。
外貨資金の円転に関しては為替リスクが存在するため、このリスクを回避するために転換時以前に為替取引を行います。

この場合の処理を見てみましょう。
仕訳
①✕1年11月1日(為替予約日)
仕訳なし
②✕2年1月1日(借入日)
(現金預金)27,900(長期借入金)27,600
(為替差損益) 300
③✕2年12月31日(決算日)
(長期前受収益)300 (為替差損益)300
解説
①予約日
取引に先立って行われた為替予約には仕訳は不要
②為替予約
直々差額:300ドル×(@92-@95)=△900
直先差額:300ドル×(@93-@95)=600
③決算日
借入金のCR換算が必要になる
300ドル×(@91-@92)=△300
・取引前の為替予約
・直々差額を為替差損益として認識
・直先差額は期間按分
・資金取引に対する振当処理
・転換に先立って行われる為替予約の振当処理
直先差額については取引日時点ですでに為替予約は決済されているため期間配分は不要
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