【会計基準から!】資産除去債務をわかりやすく解説します!問題は計算方法でなく正確な知識です!!

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今回からは資産除去債務について解説します。


割引計算が中心になる内容ですが、今まで練習した内容を理解できていれば計算は問題がありません。


むしろ正確な知識がないと、正確な計算ができません。


タカ
タカ

ですので、正確な知識を習得するためにもぜひ、最後まで読んでください。


目次

資産除去債務とは?

夜の摩天楼のイラスト


皆さんは「資産除去債務」をご存じですか?


ニャット
ニャット

資産除去債務?聞かないなあ



タカ
タカ

「資産除去債務」は会計専門用語ですので、なかなかご存じないのではないのでしょうか?

会計基準には以下のように記載されています。


資産除去債務とは、有形固定資産の取得・建設・開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令または契約で要求される義務およびそれに準ずるものをいう。
この場合の法律上の義務及びそれに準じるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている。
このほか、有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去する義務も含まれる。
(会計基準第3項(1))


以下、会計基準のページです。参照してください。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/aro.pdf

ニャット
ニャット

難しいね(汗)



タカ
タカ

字面が難しいですね
簡単にまとめると以下のような内容です。


考え方


資産除去債務の考え方
有形固定資産の除去に関して法令での義務=企業にとって義務⇒負債として扱う
✔法律そのものだけではなく、法律に準じるものも含まれる
✔資産除去債務は例えば以下のようなものが該当します。
・原発の解体
・アスベストの除去
・鉱山等の原状回復


特に重要なのは資産除去が企業にとって義務=負債という考え方です。


適用範囲


①有形固定資産の「除去」とは有形固定資産を用役提供から除去することをいいます。
 


「除去」には売却・廃棄・リサイクル等が含まれますが転用・用途変更は含まれません。


また、有形固定資産が遊休状態への変更も該当しません


そのほか、「除去」を対象にしているため有形固定資産の使用中に実施する修復や修繕は含まれません



②通常に使用した際に生じた資産除去債務が対象になるため、不適切な操業等によって生じる資産の除去は該当しない
 



タカ
タカ

この場合は固定資産の減損や引当金の計上で対応します。



③有形固定資産の除去が企業の自発的な計画の変化によって行われる場合は法律上の義務に該当しないため、該当しない



上記の内容をフローチャートにまとめると以下のようになります。



会計処理


資産除去債務を割引価値で負債計上し、同額を有形固定資産の帳簿価額に加えます。(両建処理)さらに、減価償却を通じて各気に費用配分を行います。


タカ
タカ

資産除去債務は固定資産を稼働するのに必要なものであるため、
「付随費用」と同じ性格を有するものとして資産の簿価に加えます。


計算の流れ



①資産除去債務の算定

資産除去債務は有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュフローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定します。



②計上と費用配分

割引価値を負債(資産除去債務)として計上し、同額を対象の有形固定資産の帳簿価額に加えます。資産計上された資産除去債務は通常の減価償却と併せて耐用年数にわたり各期に費用配分を行います。



③調整額の処理

時の経過による資産除去債務の調整額はその時の費用として処理する。当該調整額は期首の負債の帳簿価額に当初負債計上時の割引率を乗じて算定します。


チェックポイント

有形固定資産の付随費用と考える⇒資産計上減価償却を通じて費用配分

有形固定資産の除去費用の法的義務の未払負債計上⇒時の経過による調整額は期首の簿価に割引率をかけて簿価に加算



表示方法


タカ
タカ

表示方法は以下のようにまとまられます。


①貸借対照表上の表示


②損益計算書上の表示



例 題以下の取引ついて仕訳を示しなさい。
なお、資産除去債務は有形固定資産の取得時にのみ発生するものとし、、割引率は3.0%とする。当社は機械装置について残存価額0、耐用年数5年の定額法により減価償却を行っている。決算日は3月31日である。

(1)✕1年4月1日に、小切手10,000円を振り出して機械装置を取得し、使用を始めた。当社の機械装置には使用後に除去する法的義務がある。当該機械装置を除去する時の支出は1,000円と見積もられる。

(2)✕2年3月31日必要な決算整理を行う。

(3)✕6年3月31日に機械装置が除去された。除去にかかる支出1,050円は小切手を振り出して支払った。


解答

解説

 ①資産除去債務の算定

1,000/(1.03)^5≒863


∴機械装置の帳簿価額:1,000+863=10,863


②減価償却の計算

10,863÷5年≒2,173

③時の経過による資産除去債務の増加額

✕1年4月1日:863×3%≒26


④機械装置と資産計上した除去費用の減価償却

簿価10,863-年間減価償却2,173×4年間=2,171


⑤時の経過による資産除去債務の増加額

971(下記の資料参照)×3%≒29


機械装置の除去及び資産除去債務の除去

資産除去債務の額:下記の資料参照

履行差額:貸借差額

計算方法:期首残高+期首残高×利息分(3%)=期末残高


チェックポイント

実際に資産除去の支出額と見積上の資産除去額(資産除去債務)との差額は「履行差額」として処理します。


まとめ


有形固定資産の付随費用と考える⇒資産計上減価償却を通じて費用配分
有形固定資産の除去費用の法的義務の未払負債計上⇒時の経過による調整額は期首の簿価に割引率をかけて簿価に加算


BS上の表示

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: GQbI9fqGo6oKBAPfYng-UOKbgr060XD26xxXHZrWFCQ8r9BOVb3EfqfYjFmSkDCaDB0bFHtgopXEvPj5vkxk7_HJKr7NXuAEuDJ3-8G4U7s5pv0uYpG17NfiCodMa1UfbVQVGL0b


PL上の表示

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: oYxBMlid6E8ZPD2alL06VNVzNqu_6S4l68JZdhyjEZ9JKNQgcbHe1LAkcf84EeHBBEJ1SQNKrDLy6GzC9b27gbqpEJH7K8OjS6iEQrpE3snlA5WfED7hcrXS0mrpRcu5_KozU21G


実際に資産除去の支出額と見積上の資産除去額(資産除去債務)との差額は「履行差額」として処理

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