今回は新範囲「減損損失」について解説します。
なぜなら減損についての判定や判断をする場合が多いからです。
試験問題になれば「正確な判断ができるか?」といったような問題の出題は容易に想定できます。

今回の記事で正確な知識をしっかり自分のものにしましょう。
固定資産の減損とは?

固定資産の減損とは資産の収益性の低下により投資の回収が見込めなくなった状態をいいます。
減損処理とはそのような場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理をいいます。

帳簿価額を強制的に低下させるんだね。
対象資産
基本的には固定資産を対象にしています。

これは有形・無形を問いません。
(無形でしたらのれんなんかが該当します。)
減損会計の手続き(現存の3ステップ)

減損の手続きは大きくは3つに分かれます。
ステップ1 減損の兆候
減損が生じている可能性(兆候)を示す事象はない⇒減損を認識しない
ステップ2 減損損失の認識の判定
減損の兆候がある資産または資産グループについて、資産または資産グループから得られる将来割引前キャッシュフローの総額と帳簿価額を比較する。
将来割引前キャッシュフローの総額<帳簿価額⇒減損を認識する
ステップ3 減損損失の測定
※1 回収可能価額=正味売却価額(※2)or使用価値(※3)のどちらか大きい方
※2 正味売却価額=資産または資産グループの時価ー処分見込費用
※3 使用価値=資産または資産グループの使用と使用後から得られる

判定する内容がおおいね。

この範囲は自分が自信をもって判定・判断するための「正確な知識」を試されていますね。
減損の兆候

減損の兆候としては以下のような場合が考えられます。
- 資産または資産グループの営業活動から生じる損益またはキャッシュフローが継続してマイナスになっているかまたは、継続してマイナスになる見込みであること。
- 資産または資産グループについて回収可能価額を著しく低下させる変化が生じるかまたは生じる見込みであること。
- 資産または資産グループの事業に関して経営環境が著しく悪化または悪化する見込みであること。
- 資産または資産グループの市場価額が著しく下落したこと。

このあたりは理論で聞かれる可能性がありますね。
抑えときましょう。
減損損失の認識

減損損失の認識の判定

将来キャッシュフローの総額が固定資産の投資に対するリターンとして仮定できるため、そのリターンでもって帳簿価額を回収できるかを判定します。
つまり、将来キャッシュフローが帳簿価額より低下していれば、帳簿価額を回収できないため、帳簿価額を低下させる必要があります。
よって減損を認識する必要があります。
割引前将来キャッシュフロー
※1 主要な資産とは資産グループの将来キャッシュフロー生成能力にとってもっとも重要な構成資産をいいます。
※2 主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合には20年経過時点の回収可能価額を算定し、20年目までの割引前将来キャッシュフローに加算する。

や、ややこしいね。

そうですね。慣れないうちはかなりややこしいですね。
はじめのうちはステップごとになにをすべきか意識しましょう。

ところで、「20年を超える場合には20年経過時点の回収可能価額」ってなに?

見積の方法は20年を機に計算方法が変わります。
以下のような計算方法になります。

上記の計算方法で求めた将来割引前CF総額を20年分のCF総額として考えます。

20年より先は20年を現在としての現在価値を求めるんだね。
解答
割引前将来キャッシュフロー 190,864円
減損の判定 認識する。
解答
タイムテーブル
計算方法
10年目までの総額100,000+10年目から20年目の総額75,000+21年目6,000÷1.05+22年目5,000÷(1.05)^2+23年目(4,000+2,500)÷(1.05)^3≒190,864

23年目に発生する残存価額も忘れずに計算に含めましょう。
帳簿価額 200,000 > 将来割引前CF190,864 ⇒ 減損を認識する
まとめ
減損を認識するための3ステップ
減損が生じている可能性(兆候)を示す事象がある⇒判定を行う
減損が生じている可能性(兆候)を示す事象はない⇒減損を認識しない
将来割引前キャッシュフローの総額>帳簿価額⇒減損を認識しない
将来割引前キャッシュフローの総額<帳簿価額⇒減損を認識する

ステップ3の減損損失の測定については次回に詳しく説明します。
将来割引前キャッシュフローの計算
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