いままで、概フレの第1章、第2章を解説してきました。
https://bkforworkers.com/4408/
https://bkforworkers.com/4459/
まだ読んでいない方はそちらをぜひ、そちらから読んでください。
今回は概フレの中でも最も重要な「財務諸表の構成要素」を解説します。

財務諸表の各項目の定義が出てきますので、しっかり理解して暗記しましょう。今回については暗記が必要です。
また、今回は「投資のリスクからの解放」という財務会計の中でも最も重要な概念を解説します。
ぜひ、最後まで読んでください。
第3章 財務諸表の構成要素

ここでは各財務諸表の項目について定義付けをしています。
それは以下のような内容です。

つまり、投資家の意思決定有用性を持たない項目はどんなに定義を満たしていても財務諸表の構成要素になりません。

ま、確かに意味のない情報に価値はないもんね
各財務諸表の定義
資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう
負債とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もし くは引き渡す義務、またはその同等物をいう

義務の同等物には、法律上の義務に準ずるものが含まれます。これには「資産除去債務」が該当します。
チェックポイント
ここでいう「支配」とは所有権の有無にかかわらず、そこから便益を享受できる状態をいいます。

ファイナンスリース取引を思い浮かべてください。

ファイナンスリース資産の所有者はリース会社だけど資産計上するからね。
上記の内容はとても重要です。確実に書けるようにしましょう。
解答
①製品保証引当金は製品の故障等に対する保証をするというサービスを付加した販売を過去に行った結果として、将来保証の請求が発生した場合保証をしなければならないという条件を負い、保証することによる経済的資源を引き渡す義務を負うため、負債の定義を満たす。
②将来の修繕については、対象資産を廃棄また操業停止した場合に不要になることから、企業自身の意思で支払いを回避できる。よって、修繕引当金自体は企業にとって義務に該当しないため、負債に該当しない。

負債の要件に該当させて文章を組み立てていくことが重要です。
- 負債の要件
- ①過去の取引の結果
②報告主体が支配している経済的資源を放棄もし くは引き渡す義務
1製品保証引当金
①商品販売という過去の結果
②報告主体(売り手)にとって商品を保証する(保障によって経済的資源を放棄する)義務⇒負債に該当する。
2修繕引当金
①過去の建物等の固定資産の取引の結果
②修繕は報告主体にとって義務にならない⇒負債に該当しない
純資産とは、資産と負債の差額をいう。

純資産って明確な定義はないんだね。

そうです。あくまで差額概念です。
株主資本とは、純資産のうち報告主体の所有者である株主(連結財務諸表の場合には親会社株主) に帰属する部分をいう
包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社 の少数株主、及び将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう

「包括利益」?新しい利益がでてきたね。

普通の利益は収益と費用の差額から利益を計算しまが、この「包括利益」は純資産の差額としての利益をいいます。
純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告主体の所有者である株主、子会 社の少数株主、及び前項にいうオプションの所有者との直接的な取引による部分を除く。)のうち、 その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう。 純利益は、純資産のうちもっぱら株主資本だけを増減させる。

ここで重要なのは「リスクからの解放」という概念です。

リスクからの解放?

リスクからの解放されるからこそ収益・費用が認識されます。
このリスクからの解放を理解すると財務会計の理論が一気に理解できます。
リスクからの解放は以下のように定義されています。

要は期待が事実になった場合にのリスクから解放されると考えています。
- 資産を例として「リスクからの解放」解説!
- 商品⇒買手からキャッシュを獲得することを期待
対価を受け取る⇒期待が事実に変化⇒リスクからの解放⇒収益計上
仕訳例

わかりやすいように分記法で記載しました。
(現金預金)××× (商 品)××× ⇐販売による商品の減少
(商品販売益)××× ⇐対価を受け取ったことにより期待された成果が事
実として確定したため収益計上

ちなみに、リスクが存在する状態では収益・費用計上ができません。
気を付けましょう。
包括利益と純利益の関係性

包括利益という新たな利益概念が出てきましたが、いままでの純利益とはどのような関係性でしょう?
それは、下記のような計算式で表されます。
この内容については包括利益の内容で詳しく解説します。
収益とは純利益または非支配株主に帰属する純利益を増加させる項目であり、特定の期間の期末までに生じた資産の増加や負債の減少に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分である。

ここでも上で解説した「投資のリスクからの解放」が出てきたね。
純資産を増加させる+資産の増加や負債の減少+投資のリスクから解放された部分=収益
仕訳での具体例
資産の増加
(現 金)×××(売 上)×××⇐在庫リスクからの解放⇐売上という収益計上
負債の減少
(借入金)×××(債務免除益)×××⇐借入金の返済というリスクからの解放⇐免除益という収益の計上費用
費用とは純利益または非支配株主に帰属する純利益を減少させる項目であり、特定期の機関のきまつまでに生じた資産の減少や負債の増加に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分をいう。
純資産を減少させる+資産の減少または負債の増加+投資のリスクからの解放=費用
仕訳での具体例
資産の減少
(固定資産売却損)×××(固定資産)×××
固定資産の保有リスクからの解放⇒売却損という費用の計上
(リスクから解放されない場合は「貯蔵品」等として処理)
負債の増加
(売上原価)×××(未払金)×××
在庫リスクからの解放⇒売上原価という費用の計上

概フレはこちらから確認できます。
今回学習した内容をしっかりチェックしましょう。
コメント
コメント一覧 (3件)
画期的な新製品を開発したあと関連するすべての権利を他社に売り渡した場合、収益を認識すると思います。
しかしその後その製品に致命的な欠陥が見つかった場合、保証などの金銭的なものは発生しないものの、開発者である自社も社会的評判などに影響が出てくると思いますが、その場合リスクから解放されていたといえるのでしょうか。
茶会さん
コメントありがとうございます。
商品は販売された時点(対価を受け取った時点)で「商品販売」のリスクからは解放されていると考えられます。
茶会さんのおっしゃるような金銭が発生しない場合は会計で対応できません。
まだブログでは紹介していませんが「貨幣測定の公準」というものがあります。
これは貨幣で測定できないものは会計の対象とならないというものです。
お返事ありがとうございます。
なるほど、のれんと違って合理的な貨幣額を測定できないものは会計上は無いものと考えるわけですね。
腑に落ちました。