【「繰延ヘッジ」ってなんだ?】名前は厳ついが、内容はフツーです。外見にだまされるな!

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前回ヘッジ会計の導入を紹介しました。


https://bkforworkers.com/4900/



今回はヘッジ会計の内容を解説します。



聞きなれない名前が多いですが、拒否反応を示さず最後まで読んでください。



タカ
タカ

名前は厳ついですが、内容はいたって普通のことを言っています。


ニャット
ニャット

ですので、あせらずゆっくり理解しましょう。


目次

繰延ヘッジとは?

路肩に寄せる車のイラスト



前回、ヘッジ会計を以下のように紹介しました。


ヘッジ会計とは、ヘッジ取引のうち一定の要件をみたすものについて、ヘッジ対象にかかる損益とヘッジ対象に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理を言う。




当然、ヘッジ対象の損益とヘッジ手段の損益の発生期間は同じと限りません。



タカ
タカ

そのため、ヘッジ手段にかかる損益を繰り延べる必要があります。



そのため、「繰延ヘッジ損益」という科目をつかって繰り延べます。



「繰延ヘッジ損益」自体は資産にも負債にも該当しないため、純資産の部の「評価・換算差額」に計上します。


金利先渡契約

握手をしているビジネスマンのイラスト「日本人と外国人」



金利先渡契約は当初契約した金利が一定期間経過後に上昇または低下した場合、契約金利と差額を当事者間で受け払いする契約をいう。



タカ
タカ

取引所を通さない相対取引(一対一の当事者間の取引)なので、契約内容を当事者間で決めることができます。


ニャット
ニャット

詳しくは以下のサイトを参照してください。


https://www.ifinance.ne.jp/glossary/derivatives/der037.html


例 題以下の取引について仕訳を示せ
(1)当社は×1年11月1日現在、100,000円の銀行借入を予定している。この借り入れのために以下のような金利先渡契約を銀行と結んだ。当契約はヘッジ会計の要件を満たしているので、繰延ヘッジを適用する。

(2)×2年2月1日、金利先渡し契約を決済して198円を受取り、借入金の実行を受けた。
また、×2年1月29日に決定した変動金利(6カ月LIBOR)は3.5%であった。
(3)×2年3月31日、決算日を迎えた。なお、利息は月割りで計算し、税効果は考慮しない。
(4)×2年4月1日、再振替仕訳を行った。
(5)×2年7月31日、借入金の返済を行い、併せて利息を支払った。


 

解答

仕訳


解説

金利先渡タイムテーブル


(1)×1年11月1日(金利先渡契約締結時の処理)

契約時点は処理不要。


(2)×2年2月1日

①金利先渡契約決済時

仕訳


契約時点の金利が3.1%であり、LIBORが3.5%である。この場合は金利の差額を銀行から受け取る。逆の場合は銀行に支払うことになる。


金利先渡契約

 

タカ
タカ

銀行側の仕訳を書けという問題は考えにくいので、指標となる金利(本問はLIBOR)が契約金利より上がった場合は受取り下がった場合は支払いと理解しましょう。


ニャット
ニャット

この場合、受取りは「支払利息のマイナス」だね。


②借入

仕訳


(3)×2年3月31日

①金利先渡契約に係る利息

仕訳

※ 198×2月(2月~3月)÷6月(2月~7月)=66(当期の先渡利息)

  198-66=132(先渡利息の時期対応分)⇒「繰延ヘッジ利息」または、「繰延ヘッジ損益」として処理



タカ
タカ

ヘッジ会計の損益を契約期間に応じて繰り延べましょう。
これが「繰延ヘッジ損益」です。


ニャット
ニャット

名前は厳ついけど内容を知れば普通だね。


②借入金利息の計上

仕訳

※ 100,000×3.6%×2月÷12月=600


(4)×2年4月1日

①金利先渡契約にかかる利息の再振替

仕訳


②借入金利息の再振替

仕訳


(5)×2年7月31日

①借入金の返済

仕訳


②支払利息

仕訳

※ 100,000×3.6%×6月÷12月=1,800


金利先渡契約の効果

予想屋のイラスト


ニャット
ニャット

これをするとどんな効果があるの?

タカ
タカ

金利先渡契約の効果をここから見ていきましょう。


結果として支払った利息額

借入金に対する利息額:1,800
金利先渡契約の影響 :△198
合       計 :1,602




タカ
タカ

では、この1,602というのはどのような額なのでしょう?


結果として、借入金の利息に金利先渡契約の利息を加味した額なります。



タカ
タカ

1円単位の数字はあっていませんが、下記の式で意図は伝わるのでないでしょうか?
ただ、これは金利の推移によっては損にも得にもなる取引です。


100,000×{3.6%(借入金金利)-(3.5%-3.1%)(金利先渡契約)}×6月÷12月=1,600



ニャット
ニャット

損にも得にもなるのが金融商品だね。
マクロ的な視点で上手に利用すれば便利なものだね。


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