今回はキャッシュフロー計算書の前段階であるキャッシュフローについて解説します。

キャシュフローってなに?
損益とは違うの?
このような疑問にすべて答えます。
はっきいって、キャッシュフロー計算書は最強の計算書といっても過言ではありません。

このキャッシュフロー計算書を理解するためにもキャッシュフローと損益の違いをはっきり理解しましょう。
キャッシュフローとは?

キャッシュフローとは一会計期間における企業の資金の流入や流出の流れ(フロー)のことをいいます。
ポイントはキャッシュフローは損益とは異なるということです。

??違うの?

ここで「キャッシュフロー」と「損益」の違いを説明します。
簡単な以下の例を見てみましょう。
①売上100円を現金で回収した。

この場合は現金=損益になります。

売上(収益)を計上して、現金(キャッシュ)を回収したからね。
では次の場合を見てみましょう。
②決算において売上100円を未収金として計上した。

この場合は現金≠損益になります。

売上(収益)を計上したけど現金(キャッシュ)は回収していないからね。
両者ともにPL上売上が100円計上されますが、BSの内訳が変わってきます。(①の場合は現金100円が計上、②では未収金100円が計上されます。)

しかし、日本の会計基準では発生主義で会計を処理しています。そのため上記のような差異が発生しています。
チェックポイント
・現金主義:キャッシュの流れ=損益
・発生主義:キャッシュの流れ≠損益

キャッシュの流入・流出を特に以下のように言います。
・キャッシュの流出:キャッシュアウトフロー
なぜキャッシュフロー計算書が必要になるのか?


現金も未収金も同じ資産なのにキャッシュフロー計算書は必要なの?
すべての企業はキャッシュを燃料として動いています。これはすべての企業が該当し、例外はありません。
キャッシュがなければ、従業員への給与の支払いもできません。

そのため、キャッシュの動きを知ることはなにより最重要項目と言えます。
上記の仕訳を見れば以下のことがわかります。
- PLでは収益しか計上されない。
- BSではキャッシュの期首と期末の結果の額しか計上されない。

でも、未収金とかはそのうち回収できるし、PLだけで十分じゃないの?

そうとも言えません。
未収金が確実に回収でるとも限りません。
また悪質な企業であれば3月末に取引先と組んで未収金の売上を水増しして、4月に売上戻しで処理してしまえば、PL上の収益(利益)水増しができます。

以下のような仕訳になりますね。
この仕訳ですと、PLは下記のようになります。(単位:円)
(この企業の当期の活動は仕入の1億のみと仮定します。)

この場合だとこのPL上、利益が異常に大きく計上されてしまうね。
しかも、キャッシュインフローはいまったく発生しないね。
この方法ような売上の水増しは粉飾決算の典型例と言えるでしょう。
粉飾決算の結果、資金繰りが悪化して倒産する企業は結構あります。

そのような企業に投資しないためにもキャッシュフロー計算書が必要になります。
現金(キャッシュ)とは?

キャッシュフロー計算書では現金の範囲は明確に決まっています。
ただし、仕訳上の現金の範囲と微妙に違うので気を付けましょう。

以降わかりやすいように、キャッシュフロー計算書の現金の範囲をキャッシュと呼ぶようにします。
- キャッシュの範囲
- ①現 金:手許現金・普通預金・通知預金・当座預金
- ②現金同等物:容易に換金可能かつ、価値の変動が僅少なリスクしか負わない短期投資
(具体的には取得日から満期日まで3か月以内の定期預金・コマーシャルペーパー・譲渡性預金・当座借越※など)
※企業が当座借越契約を日常の資金活動において、現金および現金同等物と同様に利用している場合は負の現金同等物として扱う

この内容な理論として出てくる可能性もありますので、しっかり押さえましょう。
- 仕訳上の現金の範囲
- ①現金、預金
- ②通貨代表証券、他人振出小切手 、送金小切手、支払い期日到来の公社債の利札、 株式配当金領収書

2つの違いははっきりと意識しましょう。
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