前回はキャシュフロー計算のキャッシュの基本的な説明をしました。
https://bkforworkers.com/5556/
今回はキャッシュフロー計算書のしくみを解説します。
そのなかで、初学者の方が最初にぶつかる「売掛金が増えたらキャッシュのマイナス」という現象を理論的にしっかり解説します。

売掛金が増えたらキャッシュのマイナス?なんで?

ここはキャシュフロー計算書の重要な部分です。
しっかり解説しますので最後まで読んでくださいね。
キャッシュフロー計算書のしくみ

キャッシュフロー計算書は以下の3つの区分からなります。
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー

活動内容によって分かれてるんだね。
PLやBSと違うんだね。
①営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは以下の内容のキャッシュフローが記載されます。
- 営業上の損益取引に係るキャッシュフロー
- 営業活動に係る資産・負債から生じるキャッシュフロー
- 投資活動、財務活動にも区分されない活動から生じるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローは以下の内容のキャッシュフローが記載されます。
- 将来の利益活動のための設備等にかかる支出または回収に係るキャッシュフロー
- 剰余金の運用等に対する資金の支出や回収から生じるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは以下の内容のキャッシュフローが記載されます。
- 営業活動及び投資活動を維持するための資金調達に係る収入および支出から生じるキャッシュフロー
キャッシュフロー計算書の表示方法

キャッシュフロー計算書の表示方法は営業活動によるキャッシュフローの表示方法により直接法と間接法に区分できます。
・直接法による表示
営業活動によるキャッシュフローについて総額表示する方法
・間接法による表示方法
営業活動によるキャッシュフローについて当期純利益から調整する方法。

なんか直接法の方がわかりやすいね。

一見、そのようにも見えますが、間接法にもメリットはもちろんあります。
- 直接法の特徴:営業活動によるCFが総額で表示される
- 間接法の特徴:純利益と営業活動によるCFの関係性を明らかにできる

試験問題としては間接法のほうが頻繁に出題されます。
もちろん、直接法も抑える必要はあります。
キャッシュ・フロー計算書の基本的な考え方(間接法)

PLやBSでは総勘定元帳を基本として作成していました。一方キャッシュフロー計算書はPLやBSをもとに作成します。
貸借対照表から作成する場合、「期末残高-期首残高」の考え方が重要になります。
キャッシュフロー計算書は1会計期間の資金の流出入を表すため、貸借対照表の現金預金の「期末残高-期首残高」が一年間の資金の流出入の結果を表します。
それ以外の科目については資金の増減の原因を表しています。

キャッシュフロー計算書はプラス・マイナスからなります。収入がプラス、支出がマイナスになります。マイナスは通常「ー」もしくは「△」を付けます。
「期末残高-期首残高」の現金以外の貸方残高は収入項目となり、借方残高は支出項目になります。
解説
①現金の増減額
期末残高40-期首残高10=増減額30
②ほかの科目の増減額
商 品の増加額:50-20=30
買掛金の増加額:70-25=45
利 益の増加額:15- 0=15

①と②の関係性を以下のように書き表せられます。
この内容をキャッシュフロー計算書として書くと以下のようになります。

なんで買掛金が増加したらキャッシュのプラスになるの?商品が増加したらキャッシュのプラスじゃないの?

いい質問ですね。これこそキャッシュフロー計算書を理解するための真髄です。
では以下の例を考えてみましょう。
仕訳は下記のようになります。
PL・BSは下記のようになります。
この場合、売上を未収金として計上しているのでキャッシュインフローは0になります。
当期純利益のなかには、未収金として計上した売上100円が計上されています。
しかし、現金取引をしたならばキャッシュインフロー100円はあったはずです。

つまり未収金100円が増加することによって、現金取引回収できたはずのキャッシュインフロー100円が減少したと考えられます。
チェックポイント
・利益の中に掛け取引(キャッシュインフローが発生しない)の売上が計上されている。
・現金取引していたらキャッシュインフロー100円があったはず。
・未収金100円によってキャッシュインフロー100円が減少した。
・収入(掛け取引)≠キャッシュインフロー
キャッシュフロー計算書は以下のようになります。

なるほど。出発点が「当期純利益」だからそうなるんだね。

そうです。
「当期純利益」からキャッシュの残高を逆算するのがキャッシュフロー計算書の間接法です。
- 買掛金の増加:キャッシュの増加
- ・利益の中に掛け取引(キャッシュアウトフローが発生しない)の仕入が含まれている
- ・現金取引していたらキャッシュアウトフローがあったはず
- ・未払金100円によってキャッシュアウトフローが減少した
- ・費用(掛け取引)≠キャッシュアウトフロー
- 商品の増加:キャッシュのマイナス
- ・商品を仕入れるためにはキャッシュアウトフローが必要
- ・商品の増加はキャッシュアウトが発生する

商品の取引は掛けなんかで取引する場合もあるんじゃないの?

その場合は買掛金の増減の問題になってきますので、商品の増加はキャッシュのマイナスになります。

売掛金の増加は慣れてくればキャッシュのマイナスというのは慣れてくれば本能的にわかりますが、慣れるまでは理屈を通して理解しましょう。

暗記に頼らないようにしよう。
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