今回の記事は「連結会計上の剰余金の配当の処理がよく理解できない」、「修正仕訳がインプットできていない」といった方向けの記事になります。

- 本記事のテーマ
- 「連結上の剰余金の配当の処理」を「個別上の処理」からすべて解説
記事の信憑性
・簿記1級、公認会計士短答式試験合格
・連結、組織再編が得意で得点源にしてました。
・特に連結は最初苦労したために、自分なりの解き方を紹介
記事を読む前に読者の皆様にメッセージ
連結上の剰余金の配当は個別上の処理を見ることによって修正仕訳が見えてきます。
多少めんどくさいかもしれませんが、本質的な理解のためには多少の回り道が必要になる場合もあります。
今回の記事で本質的な理解をして点数につなげましょう。
連結会計上の剰余金の配当の処理
子会社は期首から期末までの間に利益が出ると株主に配当を行います。
株主が親会社の場合は親会社に配当を行います。
ただし、これを連結企業上で見るとただの資金の移動にすぎません。
そこで、相殺消去が必要になります。
連結会計上の配当金の処理(親会社の受取分)
子会社による配当のうち、親会社持分部分については親会社が受け取ったことになり、連結会計上は単に資金の移動と考えられるため、消去する必要があります。
【個別上の処理】
【連結修正仕訳】
※1 配当金×親会社の持分比率
連結会計上の配当金の処理(非支配株主の受取分)
子会社が非支配株主に行う配当は社外に流出し、その分だけ「非支配株主持分」を減額し、子会社の配当を「利益剰余金」に足し戻します。
※1 配当金×(1-親会社の持分比率)

つまり、子会社の利益剰余金のマイナスをなかったことにするんだね。

そうです。その結果として親会社の受取配当金のマイナスと非支配株主持分のマイナスに振り替えられます。
- ポイント(連結会計上の配当の処理)
- 子会社⇒親会社への配当:配当額の相殺(連結上の資金移動にすぎないため)
- 子会社⇒非支配株主への配当:非支配株主持分のマイナス
P社は✕0年12月31日、S社の発行済株式数の80%の株式を48,000円で購入した。✕1年度における連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。
【資料】 1,S社純資産項目

2,✕1年度のS社の当期純利益は12,000円であった。
3,✕1年度中に行われたS社の配当額は7,000円であった。
【解答】
①開始仕訳
非支配株主持分:差額 または (50,000+10,000)×20%
②当期純利益の振り替え
非支配株主に帰属する当期純利益:12,000×20%
③剰余金の配当の振り替え
※7,000×20%=1,400
④受取配当金の相殺
※7,000×(1-20%)=5,600
P社は✕0年3月31日にS社の発行済株式60%を43,000円で購入した。以下の資料をもとに✕1年3月31日の連結貸借対照表を作成せよ。
【資料】
1,両社の個別財務諸表


のれんは発生した翌年度より10年間にわたって償却を行う。
【解説】
連結の手順① 個別財務諸表の合算
連結の手順② 投資と資本の相殺消去
1,開始仕訳

2,のれんの償却
※ 4,000÷10=400
3,利益剰余金の振り替え
S社当期純利益3,000×非支配株主持分40%=1,200
4、配当金の相殺
①非支配株主受取分
配当額1,000×非支配株主持分(1-60%)=400
②親会社受取分
配当額1,000×親会社持分60%=600
連結の手順③ 連結財務諸表の完成
利益剰余金の計算:個別財務諸表の合算48,000-投資と資本の相殺消去15,000-のれんの償却400-当期純利益の振替1,200+配当金の相殺1,000-親会社の受取配当額600=31,800
まとめ
連結会計上の剰余金の配当の処理
・親会社の配当の振替
・非支配株主持分の振替

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