今回は持分法について解説いたします。

持分法?

疑似連結とでもいえばいいのでしょうか?
連結の新しい形になります。
この、持分法実は仕訳は簡単です!
しかし、簡単であるが故に頭の中がごちゃごちゃになってしまっている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では以下の内容について1から解説していきます。
今回の記事でわかること
・持分法と通常の連結会計との違い
・持分法の会処理の考え方、具体的計算方法
・持分法の未実現損益の消去の処理と考え方
筆者の紹介
・日商1級、公認会計士短答式試験合格
・高校時代は数学赤点連発⇒私立ド文系⇒簿記1級合格、公認会計士短答式試験合格
・数字が苦手な人ででも試験で実績を出すための考え方・問題の解き方・テクニックを紹介します
連結会計上の持分法とは?全部解説します
「持分法」とは投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資額を連結決算日ごとに修正する方法をいいます。
持分法の適用範囲
①非連結子会社
②関連会社

うーん、なんかわかるようなわからないような…

簡単に言うと疑似「連結」とでもいいましょうか。
また、問題文に「持分法として扱う」等の指示がつくと考えられます。
・議決権過半数以上⇒連結子会社
・議決権20%以上過半数未満⇒持分法適用会社
連結企業と持分法適用会社との違い
連結会計処理と持分法処理の大きな違いは以下の点があげられます。
・連結会計処理⇒子会社の財務諸表の合算
・持分法処理⇒取得後剰余金のうち親会社持分のみ被投資会社の株式勘定を増加させる

つまり持分法は通常の連結のように合算はしないで、被投資会社株式を増減させるだけだね

そうです。
その際の相手科目には、「持分法による投資損益」という科目を使います。
持分法の会計処理のポイント
・財務諸表の合算を行わない。
・取得後剰余金のうち親会社持分のみ「被投資会社の株式勘定」を増加させる。
・株式勘定の相手科目には「持分法による投資損益」という科目を使う。
・財務諸表の合算を行わないため「のれん」は計上されない。
連結会計上の持分法の会計処理
①持分法適用会社の利益計上
財務諸表を合算しないため相殺消去でなく、利益を計上
・「繰越利益剰余金」⇒「持分法による投資損益」に書き換え
・相手科目「A社株式」を計上
②持分法適用会社の剰余金配当金
・親会社が持分法適用会社から受け取った「受取配当金」の相殺
・相手科目「A社株式」を計上
③持分法適用会社ののれん償却
財務諸表を合算しないため相殺消去でなく、費用を計上 ・「のれんの償却額」⇒「持分法による投資損益」に書き換え
P社は×0年12月31日A社の発行株式数の30%を17,600円円で取得し、同社を関連会社とし、持分法適用会社とした。
以下の資料を参考にし、×1年度の持分法にかかる仕訳を示しなさい。
【資料】
1,A社の純資産勘定の推移

2,A社の資産・負債の時価評価
×0年12月31日における総資産の簿価70,000円の時価は72,000円であった。
3,×1年度のA社の利益剰余金の増減状況
当期純利益:9,000円
剰余金の配当金:△4,000円
4,のれんは投資年度の翌年度から20年間の定額法で償却する。
【解答】
【解説】
タイムテーブル
のれん:17,600-(52,000×30%)=2,000

のれん自体は計上しませんが。「のれんの償却額」は必要になるので、タイムテーブル上のれんの計算は必要になります。
1,利益剰余金の計上
9,000×30%=2,700
2,剰余金の配当金
4,000×30%=1,200
3,のれんの償却
2,000÷20=100
連結会計上の持分法の未実現利益の消去
持分法においても通常の連結と同じように未実現利益を消去してやる必要があります。持分法における方法を見ていきます。
・考え方の基本は通常の連結と同じ
・科目が変わっただけ!
①被投資会社(持分法投資会社)から投資会社(親会社)への場合(アップストリーム)

この仕訳を覚えるのではなく、通常の連結の未実現利益の消去をもとに理解しましょう!
仕訳の解説
※ 未実現損益が実現した場合は反対仕訳
・持分法の損益はすべて「持分法による投資損益」に書き換える
・アップストリームの場合対象の資産は親会社が保有しているためそのまま親会社の資産をマイナスする。

投資会社は厳密には親会社ではありませんが、イメージしやすくするためにあえて親会社と書かせていただきました。
②被投資会社(持分法投資会社)から投資会社への場合(ダウンストリーム)
仕訳の解説
・持分法は連結企業ではないため売上高そのものを消去しない。自社の未実現利益のみを消去する。
・持分法は連結企業ではないため持分法適用会社の棚卸資産のマイナスはしない!
連結会計上の持分法のまとめ
持分法全体のまとめ
・持分法の場合は財務諸表の合算を行わない。
・取得後剰余金のうち親会社持分のみ被投資会社の株式勘定を増加させる。
・株式勘定の相手科目には「持分法による投資損益」という科目を使う。
・財務諸表の合算を行わないため「のれん」は計上されない。
持分法の未実現利益に関するまとめ
アップストリームの考え方
商品は投資会社(自社)にある⇒商品の未実現利益の消去⇒商品のマイナス⇒相手勘定は「持分法の投資損益」
ダウンストリームの考え方
商品は被投資会社(持分法会社)⇒売上げの一部が未実現利益⇒売上げのマイナス⇒相手勘定は投資勘定
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