前回、総合原価計算の解説をしました。
総合原価計算は1つの作業工程で完了するものでした。
では、この作業工程が複数にわたる場合はどのようになるのでしょうか?
今回はこのような疑問に答える「工程別原価計算」を解説します。
第1工程完成品原価は第2工程の当月投入の直接材料費として扱う。

総合原価計算を複数こなす内容ですので、ハードルはあまり高くないですよ。

ぜひ、最後まで読んでくださいね。
工程別原価計算

工程別原価計算とは、同一原価計算を2つ以上の作業工程によって大量生産される総合原価計算の計算方法です。
例えば、家具を作るとき①材料を切り出す、②材料を組み立てるという作業があります。

この場合、1つの工程ですべての作業をこなすよりも、2つの工程で作業工程を分けたほうが効率的に大量生産できます。
そのため、①材料の切り出しを第1工程、②材料の組み立てを第2工程として各工程ごとに行う原価計算を工程別原価計算といいます。
計算方法

上記の家具を例に考えると第1工程に木材を投入し、第1工程の完成品はそのまま第2工程に投入します。
この計算方法を累加法といいます。
ポイント
第1工程完成品原価は第2工程の当月投入の直接材料費として扱います。

完成品原価の労務費や製造間接費も直接材料費として扱うの?

そうです。すべて直接材料費として扱います。
例題
【資料】
1.生産データ
2.進捗度
3.原価データ
4.その他のデータ
①材料はすべて第1工程の視点で投入されている
②月末材料原価の計算は平均法による。
解答
解説
加工進捗度の計算
第1工程
月 初 50㎏×60%=30㎏
月 末 80㎏×50%=40㎏
完成品 200㎏×100%=200㎏
当 月 200㎏+40㎏-30㎏=210㎏
第2工程
月 初 100㎏×30%=30㎏
月 末 60㎏×80%=48㎏
完成品 240㎏×100%=240㎏
当 月 240㎏+48㎏-30㎏=258㎏
第1工程月末仕掛品原価
材料費 (1,600+144,000)÷(50㎏+230㎏)×80㎏=41,600
加工費 (1,400+85,000)÷(30㎏+210㎏)×40㎏=14,400
合 計 41,600+14,400=56,000
第1工程完成品原価(差額で求める)
材料費:1,600+144,000-41,600=104,000
加工費:1,400+85,000-14,400=72,000
合 計 104,000+72,000=176,000(第2工程当月投入)
参考:計算で求める
材料費:(1,600+144,000)÷(50㎏+230㎏)×200㎏=104,000
加工費:1,400+85,000-14,400=72,000
第2工程月末仕掛品原価
材料費 (118,000+176,000)÷(240㎏+60㎏)×60㎏=58,800
加工費 (37,000+150,200)÷(240㎏+48㎏)×48㎏=31,200
合 計 58,800+31,200=90,000
第2工程完成品原価(差額で求める)
材料費:118,000+176,000-58,800=235,200
加工費:37,000+150,200-31,200=156,000
合 計 235,200+156,000=391,200
参考:計算で求める
材料費:(118,000+176,000)÷(240㎏+60㎏)×240㎏=235,200
加工費:(37,000+150,200)÷(240㎏+48㎏)×240㎏=156,000
合 計 235,200+156,000=391,200

完成品原価は差額と直接計算する方法どちらがいいの?

どちらでもいいですが、差額で求めると計算量がどうしても多くなってしまいますし、時間もかかります。

ただ、先入先出法は計算がややこしくなるので、差額で計算するのも十分ありです。
まとめ
工程別原価計算のポイント

今回の例題では第1工程、第2工程共に平均法でしたが、
意地の悪い問題では第1工程を先入先出法、第2工程を平均法で計算しろという問題がありますので、計算方法に気を付けてください。
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