今回は財務諸表のなかでも貸借対照表・株主資本等変動計算書を解説します。

新しい計算書が出てきたね。

そうですね。
この株主資本等計算書は単独というよりは連結財務諸表の一部として出題される可能性が高いです。

連結会計も2級の範囲なんだよね。
なんか不安…

まあ、いまは連結のことは考えないようにしましょう。
結論から言ってしまうと連結会計はパズルです。
その内容はまた解説します。
貸借対照表・株主資本等計算書も前回に続き計算方法が正しくても表示方法が間違ってしまうと正解にはたどり着けません。

株主資本等計算書は単純な計算書ですのでしっかりマスターしましょう。
・貸借対象表の表示方法
・株主資本等計算書の表示方法
Contents
貸借対照表

貸借対照表の表示について
①資産・負債の流動・固定分類
資産は流動資産・固定資産に分類され、負債は流動負債・固定負債に分類されます。
分類基準は1年基準・正常営業循環基準によって分類されます。
・正常営業循環基準
企業の正常な営業活動から生じる資産・負債は常に流動資産・流動負債に表示する基準です。
・1年基準(ワン・イヤールール)
貸借対照表日の翌日から1年以内に現金化、費用化される資産を流動資産。1年を超えて現金化、費用かされる資産を固定資産として表示します。
また貸借対照表日(通常3月31日)の翌日から1年以内に支払期日が到来するものを流動負債・ 1年を超えて支払期日が到来するものを固定負債として表示する基準です。
※未払金や未収金は営業外の債権債務ですが、1年以内に精算させるのが通常ですので流動資産・負債にのみ表示されるのが通常です。
債権債務の分類と表示方法
②有価証券の表示
(1)売買目的有価証券
保有目的は短期的な保有を目的としているため流動資産に「有価証券」として表示
(2)満期保有目的債権
保有目的は長期的な保有を目的としているため固定資産に「有価証券」として表示
(3)子会社株式・関連会社株式
保有目的は支配などの長期的な保有を目的としているため固定資産に「関係会社株式」として表示
(4)その他有価証券
固定資産に「投資有価証券」として表示
③その他有価証券評価差額金の表示
その他有価証券の評価替えによって生じた「その他有価証券評価額金」は純額を貸借対照表の「純資産の部」に表示します。
株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主に株主に帰属する株主資本の各項目の変動事由を報告するためのものです。
貸借対照表の純資産項目
Ⅰ株主資本
1.資本金
2.資本剰余金
(1)資本準備金
(2)その他資本剰余金
3.利益剰余金
(1)利益準備金
(2)別途積立金
(3)繰越利益剰余金
株主資本合計
Ⅱ評価・換算差額
1.その他有価証変評価差額金
評価・換算差額等合計
純 資 産 合 計

上記の項目について特化した計算書が株主資本等変動計算書(略して「SS」と呼びます。)です。
様式は以下の様なものです。
①当期首残高
当期首時点の各項目の残高を記入します。
②当期変動額
当期の株主資本等(純資産)の変動額を記入します。
なお、株主資本(評価・換算差額等以外)の当期変動額を変動要因ごとに分けて記入します。一方、評価・換算差額等は当期変動額を純額で記載します。
評価・換算差額等⇒純額で記載

※SSは純資産の変動についてのみ記載し、それ以外の資産・負債の変動については記載しませんので気を付けてください。

また、純資産の減少については「△」を数字の前に付します。
(当座預金)100 (資 本 金)50
(資本剰余金)50
※当座預金の項目はSSにないた記載しない。
(繰越利益剰余金)300 (未払配当金)200
(利益準備金)20
(別途積立金)80
※未払配当金の項目はSSにないため記載しない。
(損益)266 (繰越利益剰余金)266
※ 損益項目はSSにないため記載しない。
(その他有価証券)15(その他有価要件評価差額金)15
※その他有価証券評価差額金は当期変動額を純額で記載
③当期変動合計額、当期末残高の記入方法
1、当期変動額合計は項目ごとに縦の計算をします。
2、当期末残高は当期首残高に当期変動額合計を加減します。
まとめ
貸借対照表
貸借対照表日の翌日から1年以内に現金化(支払期限の到来)、費用化(収益化)される資産(負債)を流動資産(流動負債)。1年を超えて現金化(支払期限の到来)、費用化(収益化)かされる資産を固定資産(固定負債)として表示します。
純額を貸借対照表の「純資産の部」に表示
株主資本等変動計算書
評価・換算差額等⇒純額で記載
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