連結問題において連結間の取引の処理は解答に不可欠な内容です。
貸倒引当金・手形については丁寧に解説していますので、ぜひ今回のブログを通して連結での得点アップを狙いましょう。
連結間の取引の処理

親会社と子会社との間における相互間の商品売買その他の取引が連結上消去する必要があります。
具体的に相殺すべき取引・債権債務は以下のものがあります。
【資料】
(1)P社のS社に対する当期の売上は10,000円であった。
(2)P社のS社に対する売掛金の当期末残高は5,000円であった。
解答
(売 上)10,000(売上原価 ※1)10,000
(買掛金)5,000(売 掛 金) 5,000
解説
※1 連結上「仕入」を「売上原価」として表示します。
<P社の個別財務諸表上の処理(現金取引で仮定)>
(現金)10,000(売上)10,000
<S社の個別財務諸表上の処理(現金取引で仮定)>
(売上原価)10,000(現金)10,000
<連結修正仕訳>
(売上)10,000(売上原価)10,000
貸倒引当金

売掛金に貸倒引当金が設定されている場合、上記のように売掛金を相殺したときは貸倒引当金を調整してやる必要があります。
その場合、以下の様な仕訳が必要になります。
翌期の開始仕訳には以下の様に反映させてやる必要があります。
【資料】
1,P社は商品の一部を毎期S社へ売り上げており、当期の売上金額は20,000円であった。
2,債権債務関係
①P社の受取手形にはS社の振り出したものが、期首には12,000円、期末には14,000円ある。
②P社のS社に対する売掛金が、期首に11,000円、期末には15,000円ある。
3,両社とも毎期、期末売上債権残高の2%相当の貸倒引当金を、差額補充法により設定している。
4,P社の貸倒引当金は、前期末が5,000円、当期末は5,100円であった。当期中にP社に貸倒れは生じていない。
解答
1,取引高の相殺
(売上高)20,000(売上原価)20,000
2,債権債務の相殺
(買 掛 金)15,000(売 掛 金)15,000
(支払手形)14,000(受取手形)14,000
3,貸倒引当金の調整
(貸 倒 引 当 金)580(利 益 剰 余 金 )460
(貸倒引当金繰入)100
(貸倒引当金戻入)20
解説
1,取引高の相殺
解説省略
2,債権債務の相殺
相殺するのは期末残高額であることに注意すること
3,貸倒引当金の調整
①開始仕訳(前年度の修正仕訳)
(貸倒引当金)460 (利益剰余金)460
(前期受取手形12,000+期末売掛金11,000)×2%=460
②当期の調整
1、前期分の実現仕訳(前期分の全額取崩し)
(貸倒引当金繰入)460 (貸倒引当金)460
(前期受取手形12,000+前期売掛金11,000)×2%=460
2、当期分の修正仕訳(当期分の全額計上)
(貸倒引当金)580 (貸倒引当金繰入)580
(当期受取手形14,000+期末売掛金15,000)×2%=580
③最終的に以下の様な仕訳になる
(貸 倒 引 当 金)580 (利 益 剰 余 金 )460
(貸倒引当金繰入)100※
(貸倒引当金戻入)20
※ P社が繰り入れたのは100円のみ(貸倒引当金残高:当期末5,100-前期末5,000)なので、全額貸倒引当金繰入にしないようにしましょう。貸倒引当金繰入を超えた場合は連結上「貸倒引当金戻入」として処理します。
手形
親子間の手形取引も連結会社間の債権債務に該当するため相殺する必要があります。
但し、手形の場合は「裏書手形」、「手形割引」があるため多少複雑になります。
手形の相殺消去
親会社、子会社が手形を振出し、受け取った会社がそのまま手形を保有している場合、全額保有している。
受取側が手形を連結外部に裏書した場合
親会社、子会社が手形を振出し、受け取った会社が連結外部に裏書した場合、連結企業を1つの会社として見れば、振り出した会社に対する手形債務と考えられる。
ちなみに、S社の「売上」「仕入」は外部企業に対するものなので、修正の必要はないです。
受取側が手形を連結外部に手形を割り引いた場合
親会社、子会社が手形を振出し、受け取った会社が連結外部に手形を割り引いた場合、連結企業を1つの会社として見れば、銀行に対する短期借入金(手形借入金はB/S上、短期借入金として表示される)に振り替えられる。
まとめ
①連結間の取引の処理
連結間の取引については連結上、商品・資金の社内での移動と考えられるためすべて修正仕訳を行う。
②貸倒引当金
1、前期の開始仕訳・2、前期の実現仕訳・3、当期の修正処理の順で処理
⇒①個別上の処理、②連結上のあるべき数字、③必要な調整額を把握しよう
③手形
2、裏書手形⇒修正仕訳なし
3、割引手形⇒(支払手形)/(短期借入金)
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