【簿記1級】ファイナンス・リース取引の借手の会計処理を紹介します。初心者の方は混乱注意!

1級 商業簿記

前回はリース取引の判定の方法を紹介しました。


そして、今回はファイナンス・リース取引の会計処理について紹介します。


タカ
タカ

ここでは、使う数字の選択が多いため特に初心者の方は混乱しやすいと思います。

しっかり、復習しましょう。


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(1)ファイナンス・リース取引の会計処理


クリスマスリースを持った ぴょこ のイラスト

①リース資産・リース負債の計上


所有権移転外ファイナンスリース取引の場合

1,貸手の購入価額が明らかな場合

貸手の購入価額が明らかな場合リース料総額(残価保証がある場合は残価保証額を含む)を割り引いた現在価値貸手の購入価額のいずれか低い額による


2,貸手の購入価額が明らでない場合

貸手の購入価額が明らでない場合リース料総額(残価保証がある場合は残価保証額を含む)を割り引いた現在価値借手の見積現金購入価額のいずれか低い額による



所有権移転ファイナンスリース取引の場合

1,貸手の購入金額が明らかな場合

貸手の購入金額が明らかな場合貸手の購入価額による


2,貸手の購入金額が明らかでない場合

貸手の購入金額が明らかでない場合リース料総額を割り引いた現在価値と見積現金購入価額の低いほう


ニャット
ニャット

ややこしいね…

タカ
タカ

下のまとめで一覧にしましたので、参考にしてください。

②リース料・利息の会計処理


リース資産・リース負債の計上にあたってはリース料総額から含まれている利息相当額を合理的に見積り控除します。


この利息相当額は原則として、利息法によって配分します。


タカ
タカ

具体的な計算方法は例題で見ていきましょう。

③リース資産の減価償却


1,所有権移転ファイナンス・リース取引


所有権移転ファイナンス・リース取引はリース物件がリース契約後、自己の所有になるため自己の所有する固定資産に適用する減価償却と同様に算定を行います。


2,所有権移転外ファイナンス・リース取引


所有権移転ファイナンス・リース取引はリース物件がリース契約後リース会社に返還されるためリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして減価償却を算します。


④維持管理費相当額の処理


維持管理費相当は会計処理上、独立して費用として計上します。


(2)所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理


コピー機を使う人のイラスト(女性)
例 題

以下の資料にもとづき仕訳を示せ。なお、計算の結果、円未満の金額が生じた場合には円未満を四捨五入する。当期は×1年4月1日から×2年3月31日までとする。

①×1年4月1日にリース会社と以下の条件で備品のリース契約を結んだ。当該契約は所有権移転条項、割安購入選択権、残価保証は付されていない。また特別仕様でもない。
リース取引開始日 ×1年4月1日
解約不能リース期間 5年
年間リース料 12,000円
リース料総額 60,000円
リース料の支払い 年1回 3月31日後払い
なお、当該リース物件のリース会社の購入価額は明らかでなく、見積現金購入価額は50,000円である。当該物件の経済的耐用年数は8年である。
また、当社はリース会社の利子率を知りえないため、当社の追加借入利子率6%を用いてファイナンス・リース取引を判定する。

②×2年3月31日にリース料12,000円を小切手を振出て支払った。なお。利息相当額を算定するにあたって適用する利率は年6.4%である。

③×2年3月31日、本日決算を迎えた。リース資産の減価償却は定額法による。

④×3年3月31日にリース料12,000円を小切手を振出て支払った。

⑤×6年3月31日にリース料12,000円を小切手を振出て支払うとともに、リース物件をリース会社へ返還した。

⑥×6年3月31日、本日決算を迎えた。


解答

解説

1,ファイナンス・リース取引の判定

(1)現在基準

リース料総額額の現在価値基準50,548※1≧見積現金購入価額50,000×90%

※1 12,000÷(1+6%)+12,000÷(1+6%)^2+12,000÷(1+6%)^3+12,000÷(1+6%)^4+12,000÷(1+6%)^5≒50,548

(2)経済的耐用年数

リース期間5年<経済的耐用年数8年×75%

(3)判定

①リース料総額額の現在価値基準50,548≧見積現金購入価額50,000×90%であるため
②リース期間<経済的耐用年数×75%であっても、ファイナンス・リース取引に該当する。

また、所有権移転条項、割安購入選択権、残価保証は付されておらず、また特別仕様でもないため所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。


2,リース契約時

貸手の購入価額が明らかでないため、リース料総額の現在価値50,548と見積現金購入価額のいずれか低い額をリース資産・リース負債の計上額となる。よってリース資産・負債計上額は50,000円となる。


3,リース料支払時

本問ではリース資産の計上額を50,000円として計上しているため、リース料総額の現在価値がリース資産の計上額と等しくなるのは6.4%であるため、6.4%で計算する。


参考
12,000÷(1+6.4%)+12,000÷(1+6.4%)^2+12,000÷(1+6.4%)^3+12,000÷(1+6.4%)^4+12,000÷(1+6.4%)^5≒50,000


つまり、リース計上額が50,548円の場合は6%で計算します。


利息法によると以下の様に計算できる。



計算方法
①期首元本
②支払いリース料:契約上の支払額
③利息相当額:元本×計算上使用する利息
④元本返済額:支払いリース料-利息相当額
⑤期末元本:期首元本-元本返済額
①期首元本:⑤前期末元本額


タカ
タカ

この計算方法をマスターしましょう。


仕訳の仕組み

④元本返済額⇒リース負債をマイナスして計上する
⑤利息相当額⇒支払利息として計上する。


4,減価償却費


所有権移転外ファイナンス・リース取引のため、リース期間(5年)を耐用年数として残存価額をゼロとして減価償却を行う


リース資産50,000÷リース期間5年=10,000


5,リース期間終了時

リース期間終了時にリース物件の返却とともに資産の除去の仕訳を行う。


例 題

以下の資料にもとづき仕訳を示せ。なお、計算の結果、円未満の金額が生じた場合には円未満を四捨五入する。当期は×1年1月1日から×1年12月31日までとする。

①×1年1月1日にリース会社と以下の条件で備品のリース契約を結んだ。当該契約は所有権移転条項、割安購入選択権、残価保証は付されていない。また特別仕様でもない。
リース取引開始日 ×1年1月1日
解約不能リース期間 5年
年間リース料 9,000円
リース料総額 45,000円
リース料の支払い 年1回 3月31日先払い
なお、当該リース物件のリース会社の購入価額は明らかでなく、見積現金購入価額は40,000円である。当該物件の経済的耐用年数は5年である。
また、当社はリース会社の利子率を知りえないため、当社の追加借入利子率7%を用いてファイナンス・リース取引を判定する。

②×1年1月1日にリース料9,000円を小切手を振出て支払った。

③×1年12月31日、本日決算を迎えた。なお、利息相当額を算定するにあたって適用する利率は7.47%とする。リース資産の減価償却は定額法による。

④×2年1月1日にリース料9,000円を小切手を振出て支払った。

⑤×5年12月31日にリース物件をリース会社へ返還した。当該リース物件についてリース契約上、リース期間終了時に当社がリース物件に処分価額を1,200円まで保証する条項が付されていたが、当該リース物件の売却価額は900円であり、残価保証の1,200円に300円不足するため、当該不足金額を未払金に計上する。


解答

解答

1,ファイナンス・リース取引の判定

(1)現在基準

リース料総額額の現在価値基準40,340※1≧見積現金購入価額40,000×90%

※1 9,000(※2)+9,000÷(1+7%)+9,000÷(1+7%)^2+9,000÷(1+7%)^3+9,000÷(1+7%)^4+9,000÷(1+7%)^5≒40,340

※2 先払いの場合は割引計算の必要がないためそのまま足す


(2)経済的耐用年数


リース期間5年≧経済的耐用年数5年×75%


(3)判定

①リース料総額額の現在価値基準≧見積現金購入価額40,000×90%であり
②リース期間≧経済的耐用年数×75%であるので、ファイナンス・リース取引に該当する。


また、所有権移転条項、割安購入選択権、残価保証は付されておらず、また特別仕様でもないため所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。


2,リース契約時


貸手の購入価額が明らかでないため、リース料総額の現在価値40,340と見積現金購入価額40,000のいずれか低い額をリース資産・リース負債の計上額となる。よってリース資産・負債計上額は40,000円となる。


3,リース料支払時


本問ではリース資産の計上額を40,000円として計上しているため、リース料総額の現在価値がリース資産の計上額と等しくなるのは7.47%であるため、7.47%で計算する。


参考
9,000(※1)+9,000÷(1+7.47%)+9,000÷(1+7.47%)^2+9,000÷(1+7.47%)^3+9,000÷(1+7.47%)^4+1,200(※2)÷(1+7.47%)^5≒40,000

※1 先払額
※2 残価保証額


利息法の計算します。


※ 本問はリース料を先払いしているため、40,000円から1回目のリース料の9,000を控除した額から計算を始めます。


4,減価償却費


所有権移転外ファイナンス・リース取引のため、リース期間(5年)を耐用年数として残存価額をゼロとして減価償却を行う。ただし、残価保証が存在するため、残価保証を控除して減価償却を行う


(リース資産40,000-残価保証1,200)÷リース期間5年=7,760


5,リース期間終了時


リース期間終了時にリース物件の返却とともに資産の除去の仕訳を行う。


残価保証に不足する場合には、リース資産売却損および未払金を計上する


所有権移転ファイナンス・リース取引

プライベートジェットのイラスト


例 題

例 以下の資料にもとづき仕訳を示せ。なお、計算の結果、円未満の金額が生じた場合には円未満を四捨五入する。当期は×1年1月1日から×1年12月31日までとする。

①×1年1月1日にリース会社と以下の条件で備品のリース契約を結んだ。
なお、当該リース契約終了時に割安価額1,840円で購入選択権が付与されている。当社はここ購入権を行使する予定である。
また、リース会社の計算利子率は8%、当社の追加借入利子率は8.2%である。
リース取引開始日 ×1年1月1日
解約不能リース期間 5年
年間リース料 7,200円
リース料総額 36,000円
リース料の支払い 年1回 12月31日後払い
なお、当該リース物件のリース会社の購入価額は30,000円であり、当社の見積現金購入価額は32,000円である。当該物件の経済的耐用年数は6年である。
また、当社はリース会社の利子率を知りえないため、当社の追加借入利子率8.2%である。

②×1年12月31日にリース料7,200円を小切手を振出て支払った。

③×1年12月31日、本日決算を迎えた。リース資産の減価償却は残存価額の10%の定額法により行う。

④×2年12月31日にリース料7,200円を小切手を振出て支払った。

⑤×5年12月31日にリース料7,200円を小切手を振出て支払ったほか、割安購入選択権を行使し、行使価額1,840円を小切手で支払った。


解答

解説

1,ファイナンス・リース取引の判定

(1)現在基準

リース料総額額の現在価値基準30,000※1≧見積現金購入価額32,000×90%

※1 7,200÷(1+8%)+7,200÷(1+8%)^2+7,200÷(1+8%)^3+7,200÷(1+8%)^4+(7,200+1,840※)÷(1+8%)^5≒30,000

※ リース料総額には割安購入選択権の行使価額を含める。また、貸手の計算利子率が明らかなため当該利子率を用いる。


(2)経済的耐用年数


リース期間5年≧経済的耐用年数6年×75%


(3)判定


①リース料総額額の現在価値基準30,000≧見積現金購入価額32,000×90%であり
②リース期間5年≧経済的耐用年数6年×75%であるので、ファイナンス・リース取引に該当する。


また、割安購入選択権が付されており当該選択権の行使は確実なため、所有権移転外ファイナンス・リース取引となる。


2,リース契約時


貸手の購入価額が明らかであるため、リース資産・負債は当該価額の30,000円で計上する。


3,リース料支払時


本問ではリース資産の計上額を貸手の購入額の30,000円で計上しているため、リース料総額の現在価値がリース資産の計上額と等しくなるのは貸手の計算利子率の8%であるため、8%で計算する。


4,減価償却


所有権移転外ファイナンスリース取引では自己の所有する固定資産と同様の方法で減価償却を行うため、経済的耐用年数6年、残存価額10%として減価償却を行う。

30,000×(1-10%)÷6年=4,500


5,リース期間終了時(割安購入選択権の行使)


リース期間終了時に割り役購入選択権を行使して所有権が移転した場合、自己所有の固定資産に振替え、減価償却を継続する。

まとめ


リース資産・負債計上額

タカ
タカ

計算のポイントとしては、割安購入選択権の行使価額や残価保証額を含めて計算します。

減価償却の方法

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