今までは営業上の取引がメインでしたが、今回は営業外の取引について見てみましょう。
営業外の取引は今後の減価償却の基礎や総合問題の得点源になります。

簿記ではスーパーなんかの商品の売買が前提ですので、土地の売買とかを営業取引とすることは想定していません。

問題文の内容が営業取引か営業外の取引かを判断できるようにしよう。
・固定資産の取得価額
・有価証券の取得価額、売却、配当
・未収金、未払金の理解
・借入金、貸付金(手形借入金、手形貸付金)の処理、違い
有形固定資産

有形固定資産とは企業が長年(1年以上)にわたって使用する形のある具体的な資産です。
建物…ビル、社屋、倉庫
備品…PC、机、棚
土地…敷地
車両運搬具…営業車、トラック
構築物…門、塀
購入時
購入時には支払った金額に付随費用を含めます。この購入金額(購入代価)に付随費用を含めた金額を取得価格と呼びます。
付随費用には以下の様なものがあります。
勘定科目 | 付随費用 |
建物 | 登記料、仲介手数料など |
土地 | 登記料、整地費用など |
備品 | 取引運賃、設置料など |
車両運搬具 | 購入手数料など |
(借方) 建物1,010,000 /(貸方)当座預金 1,000,000
現 金 10,000

この考え方は、仕入の時に自社負担の経費を含める考え方と同じだね。

有形固定資産の売却については後に扱いますので、ここでは取り扱いません。
有価証券

企業によっては資金運用として、株式や社債を購入する場合もあります。
有価証券には株式、国債、社債等があります。

有価証券については保有目的によって勘定科目が変わります。
・長期的に支配目的(子会社支配等)→投資目的

3級では売買目的の有価証券しか出てきませんのでここでは売買目的の有価証券しか扱いません。
購入
有価証券についても支払った金額に付随費用を含めた額を取得価額とします。

有形固定資産と同じだね。

そうですね。
仕入や資産の購入に関しては付随費用を含めます。
(借方) 売買目的有価証券 11,000 /(貸)現金 11,000
配当金
有価証券には配当が存在します。企業から配当金領収証が送られてくるので、銀行に持っていけば現金に変えてくれます。
また、配当金は「受取配当金」(収益)で処理します。
(借方) 当座預金 1,000 /(貸方)受取配当金 1,000
売却
売買目的有価証券については日々値動きしています。購入時と売却時について差額が出ます。差額は以下の様に処理します。
取得価格より低い価格で売却した場合→取得価格との差額は有価証券売却損
(借方) 当座預金 15,000 / (貸方)有価証券 10,000
有価証券売却益 5,000
(借方) 当座預金 5,000 / (貸方)有価証券 10,000
有価証券売却損 5,000
未収金・未払金

未収金・未払金とは営業活動以外の取引に使われるものです。
具体的には、土地、有形固定資産の売買、有価証券の売買等に係るものです。
営業活動以外の取引で後に支払う金額 →未払金(支払う義務は負債)
(借方) 未収金 10,000 /(貸方)土地 10,000
(借方) 車両 10,000 /(貸方)未払金 10,000

営業取引の場合に使用する科目は覚えていますか?

もちろん売掛金、買掛金だよね
貸付金・借入金

資金に余裕があった場合に貸し付けたり、資金不足で借り入れた場合の仕訳を見てみましょう。
借り入れた場合→借入金(返済する義務を負うため負債)
(借方) 貸付金 100,000 /(貸方)現 金 100,000
(借方) 現 金 100,000 /(貸方)貸付金 100,000
(借方) 現金 100,000 /(貸方)借入金 100,000
(借方)借 入 金 100,000 /(貸方)当座預金 100,750
支払利息 750※
※利息の計算方法 100,000×1%×9ヵ月/12ヵ月=750
手形貸付金・手形借入金

借入、貸付については通常借用書を用いますが、代わりに約束手形を用いることが可能です。
手形借入金→負債(手形による借入金→負債)
(借方) 手形貸付金 100,000 /(貸方)現金 100,000
(借方) 現金 50,000 /(貸方)手形借入金 50,000
まとめ
・有形固定資産
・有価証券
取得価格より低い価格で売却した場合→取得価格との差額は有価証券売却損
・未収金、未払金
営業活動以外の取引で後に支払う金額 →未払金(支払う義務は負債)
・貸付金、借入金
借り入れた場合→借入金(返済する義務を負うため負債)
・手形貸付金、手形借入金
手形借入金→負債(手形による借入金→負債)
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