【初心者向け】税効果会計の細かい論点を解説!実は連結会計にもつながる超重要論点!!(簿記1級)

1級 商業簿記

前回までは税効果会計の根本となる重要論点を解説しました。


【見逃し厳禁】公認会計士短答合格者が「税効果会計」で一番重要な内容の解説します!!(簿記1級)
資産負債法前回、税効果会計の基礎について解説しました。この税効果会計の考え方は資産負債法というものです。ニャット資産負債法?タカそ...


今回は前回に比べると細かい内容になります。

しかし、この細かい論点が後の連結会計につながっていきます。

タカ
タカ

ですので、今回の内容も超重要です。


しっかり理解していきましょう

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一時差異に準ずる差異

文化祭のイラスト

1,税務上の繰越欠損金の意義


税務上の欠損金は課税所得がマイナスとなる場合をさしますが、この欠損金は時期以降も繰り越されます



これを「繰越欠損金」といいます。


ただし、この繰越欠損金は繰越期限が決まっています。


タカ
タカ

この期限は税法により決まっています。現在は10年間となっています。
下記の表を参考に具体的に説明します。



ニャット
ニャット

繰越欠損金がある場合はマイナス(欠損金)を繰り越しているのがわかるね。



タカ
タカ

そうですね。欠損金を出した次年度はその分税金の負担が軽減されるのがわかります。これが会計上どのような効果をもたらすのか以下で解説します。



2,税務上の繰越欠損金の効果と税効果会計の適用


(1)税務上の繰越欠損金の効果

税務上の繰越欠損金は、繰越期限が到来するまで課税所得の金額を減算することができます。


つまり、将来減算差異と同様の税効果を有するため税務上の繰越欠損金は一時差異に準じものとして取り扱います。


(2)仕訳方法


繰越欠損金発生時

(繰延税金資産)×××(法人税等調整額)×××


将来課税所得発生時

(法人税等調整額)×××(繰延税金資産)×××


3,繰延税金資産の回収可能性の検討


タカ
タカ

繰越欠損金についても回収可能性の検討を行う必要があります。


繰越欠損金の回収可能性の検討内容
①過去(3年)または当期において、重要な税務上の欠損金が生じている。
②過去(3年)において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった事実がある。
③当期末において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れが見込まれる。



ニャット
ニャット

前回紹介した繰延税金資産の回収可能性とほぼ同じだね


例 題当社の✕1年~✕2年の以下の以降に基づき税効果会計を適用するための仕訳を行いなさい。
なお、法定実行時率は40%とする。

1,✕1年
当社の保有している投資有価証券について✕1年度に評価損を計上した。このため✕1年度は10,000円の当期純損失を計上した
なお、税務申告では10,000円の繰越欠損金を計上した。

2,✕2年
✕2年において当期純利益8,000円を計上した。繰越欠損金控除前の課税所得も同額であった。


解答

✕1年度

(繰延税金資産)4,000(法人税等調整額)4,000

✕2年度

(法人税等調整額)3,200(繰延税金資産)3,200


解説

(1)✕1年度

繰越欠損金10,000×40%=4,000

(2)✕2年度

繰越欠損控除前課税所得8,000×40%=3,200



純資産直入項目に対する税効果

ホワイトリストのイラスト


1,純資産直入項目

PLを通さずに、純資産の部に直入される項目として以下の項目が挙げられる。


・その他有価証券評価差額金
・繰延ヘッジ損益


タカ
タカ

繰延ヘッジ損益(デリバティブ)金融商品の回で詳しく解説します。


2,純資産直入項目に対する税効果


(1)一時差異の金額


①その他有価証券評価差額金 :「時価ー取得原価」
②繰 延 ヘ ッ ジ 損 益:「時価評価による評価差額」


(2)税効果会計の適用方法


上記の差異は会計上の資産または負債の額と課税所得計算上の資産また負債の額との間に差異に該当するため一時差異に該当するので、税効果会計の対象となります。


仕訳例

1,その他有価証券

①時価>簿価の場合

           (投資有価証券)×××(繰 延 税 金 負 債) ×××
                      (その他有価証券評価差額金)×××


②時価<簿価の場合

          (繰 延 税 金 資 産) ××× (投資有価証券)×××
          (その他有価証券評価差額金)×××


ポイント
評価益⇒繰延税金負債
評価損⇒繰延税金資産



タカ
タカ

純資産直入項目の税効果会計では基本的に「法人税等調整額」を使いません。

注意しましょう!



2,デリバティブの時価評価

①評価益

         (デリバティブ資産)×××(繰延税金負債) ×××
                        (繰延ヘッジ損益)×××


②評価損

        (繰延税金資産) ××× (デリバティブ負債)×××
        (繰延ヘッジ損益)×××


例 題下記の資料をもとに✕1年度末におけるその他有価証券の時価評価について①全部純資産直入法、②部分純資産直入法により示しなさい。
【資料】
(1)当社は以下の銘柄の株式を保有しており、取得価額と時価は以下の通りである

(2)当社は保有しているすべての株式をその他有価証券に区分している
(3)その他有価証券の時価評価に対して税効果会計を適用する。実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性に問題はないとする。


解答


①全部純資産直入法

         (投資有価証券)400 (繰 延 税 金 負 債)   160                                        (その他有価証券評価差額金) 240

②部分純資産直入法

        (投資有価証券) 800    (繰 延 税 金 負 債)    320
                        (その他有価証券評価差額金) 480
        (投資有価証券評価益) 400(投 資 有 価 証 券)  400
        (繰延税金資産)   160 (法人税等調整額)      160


解説

①全部純資産直入法

A株式(2,400-1,600)+B社株式(3,600-4,000)=評価益400
400×40%=160(繰延税金資産)
400-160=240(その他有価証券評価差額)


②部分純資産直入法

評価益

     (投資有価証券)800     (繰 延 税 金 負 債)    320
                   (その他有価証券評価差額金) 480


評価損

     (投資有価証券評価損)400(投 資 有 価 証 券) 400
     (繰延税金資産)   160(法人税等調整額)     160


部分純資産直入法評価損の場合は「投資有価証券評価損」が計上されるため、「投資有価証券評価損」を相殺するため「法人税等調整額」を計上します。



ポイント
部分純資産直入法+評価損⇒投資有価証券評価損を計上⇒(相殺)⇒「法人税等調整額」を計上




タカ
タカ

純資産直入項目の税効果会計では基本的に「法人税等調整額」を使いませんといいましたが、これは例外です。しっかり押さえましょう。



税効果会計の貸借対照表の表示

SNSが表示されたスマートフォンのイラスト(動画)


(1)個別財務諸表上の表示


タカ
タカ

繰延税金資産・負債の表示はカンタン!です


ポイントは以下の2点


・繰延税金資産は「投資その他資産
・繰延税金負債は「固 定 負 債


ちなみに、繰延税金資産・繰延税金負債は相殺表示します。


つまり、まとめると以下のようになります。


繰延税金資産>繰延税金負債⇒繰延税金資産を「投資その他の資産
・繰延税金資産<繰延税金負債⇒繰延税金負債を「固 定 負 債



(2)連結財務諸表上の表示


連結上であったとしても、繰延税金資産・繰延税金負債は相殺表示します。


ただし、相殺表示されるのは同一納税主体に係る税金に限られますので、会社を超えて相殺することはできません。


ニャット
ニャット

どゆこと?


タカ
タカ

同一納税主体というのは同じ会社で発生した繰延税金資産・繰延税金負債ということです。
つまり、親会社の繰延税金資産と子会社の繰延税金負債は相殺できません。


これは親会社と子会社では別の会社として法人税を申告するためです。



まとめ

・繰越欠損金

繰越欠損金発生時

(繰延税金資産)×××(法人税等調整額)×××

将来課税所得発生時

(法人税等調整額)×××(繰延税金資産)×××

・純資産直入項目

該当項目
・その他有価証券評価差額金

・繰延ヘッジ損益

1,その他有価証券

①時価>簿価の場合

           (投資有価証券)×××(繰 延 税 金 負 債)×××
                      (その他有価証券評価差額金)×××

②時価<簿価の場合

          (繰 延 税 金 資 産)××× (投資有価証券)×××
          (その他有価証券評価差額金)×××

ポイント
「その他有価証券評価差額金」を使用する場合は「法人税等調整額」は使用しない。
ただし、
部分純資産直入法+評価損⇒投資有価証券評価損を計上⇒(相殺)⇒「法人税等調整額」を計上


・貸借対照表の表示

個別財務諸表所

繰延税金資産>繰延税金負債⇒繰延税金資産を「投資その他の資産」
・繰延税金資産<繰延税金負債⇒繰延税金負債を「固 定 負 債」

連結財務諸表上

・連結上でも同様に相殺表示は行う
・ただし、相殺表示されるのは同一納税主体に係る税金に限られる。

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